事件は発生から3年を前に急展開を迎えた。2018年5月に和歌山県田辺市の自宅で急性の覚醒剤中毒で死亡した野崎幸助氏(享年77)について、妻であった須藤早貴容疑者(25歳)が殺人容疑で逮捕されたのだ。

「密室での毒殺事件。出入りしている人間は限られている。県警は明らかにしていませんが、当日の死亡直前の飲食物については確認しており、その中に致死量の覚醒剤を盛られたことは確かです。そのため、自宅内にいた、早貴容疑者と、家政婦の女性の二人に県警は注目していました」(県警担当記者)

 二人の女性について、事件発生当初からマスコミが追いかけ回していたのだが、県警は須藤容疑者と野崎氏の「奇妙な夫婦関係」に、注目していた。

「野崎氏の著書とされる『紀州のドン・ファン 美女4000人に30億円を貢いだ男』(講談社)によると、早貴容疑者との出会いは、羽田空港で転倒した際に、やさしく手を差し伸べてきた、だそうですが、野崎氏が生前に付き合っていた女性は、すべてが金銭を支払った相手といいます。早貴容疑者もそんな中の一人で、ある人物に謝礼を払って斡旋させたのです。過去には、そうやって紹介された女性に、自宅から金品を盗まれるという被害にもあっていたのに。とにかく女性は好きだった」(同)

酒類販売業、金融業などで財をなした「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏
酒類販売業、金融業などで財をなした「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏

 2018年2月8日、その前年から「交際」があったという早貴容疑者と野崎氏は籍を入れる。そのまま結婚生活が始まるかと思いきや、いきなり「別居」となった。当時のことを野崎氏の会社関係者(以下会社関係者A)が語る。

「早貴容疑者は『東京の部屋を整理する』という理由で、結婚直後から東京に帰ったままだったんですよ。それで、結婚の条件である『月に100万円』のお手当てだけは受け取っていた。これには、社長もキレて『離婚するかどうか、はっきりせい』と、早貴に決断を迫ったのです」

 二人の結婚には100万円を支払うという「覚書」が存在していた。つまり、月100万円の援助交際の延長線上の「結婚」だったのである。

「それで4月に早貴はイヤイヤ田辺にやって来たんですが、夫婦には見えませんよね。家事はすべて家政婦のTさんがやってるし、早貴は、何かと外に出て、自宅に立ち寄らないようにしていた。運転免許を取りたいと、自動車学校に通い始めたのです」(会社関係者A)