メディアの取材もグルーピーと紙一重のところがある。重大事件の加害者のなかには、有名番組の担当者が面会に来たと自慢したり、手紙に「メディア出演歴」としてこれまで受けた取材の多さをアピールするなど、明らかに立場を勘違いしていると思われる人々もいる。

 座間市で9人を殺害した白石隆浩死刑囚は、取材面会に訪れるマスコミに対して金銭を要求していたと報道されていた。

 秋葉原連続殺傷事件の加藤智大死刑囚は、事件直前のSNSで「ワイドショー独占」とつぶやき、つい先日起きた小田急線内の無差別刺傷事件で逮捕された対馬悠介容疑者も、確保前に「有名になると思うんで、握手しておきますか」と見知らぬ人に声をかけていたという。

 これら承認欲求の強さも、凶悪犯にしばしばみられる特徴である。

 マスコミは、あくまで「取材」として、客観的に事実を聞いていただけかもしれないが、彼らに否定されないことを理解されていると受け取る加害者もおり、そうした経験に慣れてしまうと、厳しい助言は聞き入れなくなってしまうのだ。

 社会にいる加害者家族は、一気に自宅に押し寄せてくる報道陣に抗うすべがない。しかし塀の中にいる加害者は、面会相手を選ぶことが可能なのである。筆者が、更生支援を引き受けるにあたっては、家族と支援者との面会をマスコミなどより優先させてもらう約束が必須となる。 

利用されて被害に遭うケースも

 犯罪者との交流を求める人々は、プリズングルーピーだけではなく、死刑廃止を求めて活動する人々など真剣に犯罪者と関わろうとする人々もいる。犯罪者の不幸な境遇に同情し、更生の支え手となるために獄中結婚するカップルもいる。

 前出の木嶋佳苗死刑囚や、'01年に大阪・池田小学校で児童8人を惨殺した宅間守死刑囚('04年に死刑執行)の獄中結婚は記憶に新しい。

 ところが、獄中結婚して出所したケースでは、結局暴力を振るうようになって離婚に至ったり、金銭を持ち逃げされたり、新たな事件に巻き込まれてしまった人々もいるのである。

 文通や面会での様子から更生に向かっていると感じたとしても、更生したか否かは、社会に出てしばらく様子をみなければ、判断することはできない。DVや虐待で服役した加害者の中には、家族やパートナーに再び被害を与えているケースも少なくないのだ。長期間、刑務所に収容されたからといって、自動的に加害者が更生するわけではないことに注意が必要である。

 受刑者がさまざまな人々と交流することは、多様な価値観に敏感になり、社会復帰を促進するうえでも重要な機会である。しかし、好奇心のみで関わるにはリスクも大きく、個人ではなく更生支援団体の協力を得て適切な関わり方を学んでいただきたい。

「写真がほしい」

心愛さんの遺骨が納められていた千葉県内の霊園の納骨堂(※許可を得て撮影しています)

 2019年1月24日、栗原心愛さんが亡くなってから2年半が経過し、受刑者はすでに懲役16年の刑務所生活が始まっている。その家族は、心愛さんが亡くなる直前まで一緒に生活をしていた遺族であり、同時に加害者家族でもあるという複雑な立場に立たされ続けてきた。

 お人形のような心愛さんの可愛らしさに、日本中から同情が集まる一方、心愛さんを死に至らしめた勇一郎受刑者には激しい憎悪が向けられてきた。

 筆者のもとには、供養をしたいと「心愛ちゃんの写真を頂けないでしょうか」という問い合わせも度々寄せられ、なかには小児性愛を感じさせるような不快な男性からの連絡もあった。被害者・加害者双方への好奇の視線は遺族を悩ませ続けている。

 ただでさえ残虐な事件。世間の人々には、心愛さんのご冥福を祈り、加害者の更生を静かに見守っていただきたいと願う。

※1 一定の期間を置きながら複数の殺人を行う「連続殺人犯」のこと

阿部恭子(あべ・きょうこ)
NPO法人World Open Heart理事長。日本で初めて犯罪加害者家族を対象とした支援組織を設立。全国の加害者家族からの相談に対応しながら講演や執筆活動を展開。著書『家族という呪い―加害者と暮らし続けるということ』(幻冬舎新書、2019)、『息子が人を殺しました―加害者家族の真実』(幻冬舎新書、2017)など。