【やりがち健康法11】
ダイエットのために糖質オフを徹底する

●小太りくらいのほうが健康で長生きできる!

「人間を含め、動物は本能的に自分が足りないものが欲しくなるもの。とりすぎはよくありませんが、身体が欲する限り糖質の摂取は必要なのです」。50歳を過ぎたら粗食もおすすめできない。動物性タンパク質を含め、バランスよく食べることが大切だ。「小太りの人がもっとも長生きするという調査結果もあります。ダイエットをすると骨がもろくなり、筋力が落ちるという弊害も。持病など健康上に問題がないのであれば、ダイエットの必要はありません」

【やりがち健康法12】
美のために女性ホルモン治療を行っている

●やりすぎると乳がんや子宮がんの罹患率が高まる

 女性ホルモンを投与すると、シミ、シワが少なくなり、精神的にも若返るというが、「大量に投与すると乳がんや子宮がんになる可能性が高くなり、見た目の若返りが叶っても寿命を短くしかねません。女性ホルモンは年々減少していきますが、外から人工的に大量に入れてバランスを崩してしまっては、よいことはひとつもない。重い更年期障害の治療のためのホルモン剤投与を除き、アンチエイジングのために行うのはおすすめできません」

【やりがち健康法13】
栄養不足はサプリでしっかり補っている

●バランスのよい食事が基本。補完はビタミン剤だけでOK

「毎日の栄養をサプリだけに頼るのはよくありません。食事で好きなものをバランスよく食べるのが健康の基本です。サプリは飲んでも飲まなくても、寿命に大きく影響するとはいえないですね。ただし、ビタミンだけは、サプリでの健康効果が実証されている上に、オーバー量を摂取しても健康に問題がありません」。“飲んでいると元気になる気がする”など、精神的なメリットがある場合は、飲み続けると、好転することも。

●これはOKな習慣
『毎日同じルーティンから脱却。新しいことにチャレンジする!』


「穏やかで毎日同じサイクルの生活のほうがストレスなく、免疫力も上がると思われがちですが、新しいことにチャレンジするなどアドレナリンが出るような行動は、実は免疫力アップに効果があります」。新しい趣味に挑戦してみることが大切。「また、オリンピックもありましたが、スポーツ観戦などハラハラドキドキするような時間を過ごすのもおすすめ」

奥村先生の免疫アップアドバイス

●免疫力は上げることより下げないことを意識すべし

 免疫力の鍵となるのは、リンパ球の仲間で、がんなど体内で生まれた異常細胞や新型コロナウイルスなどのウイルスをやっつけて処理してくれるNK(ナチュラルキラー)細胞。これをできるだけ活性させることが免疫力の維持に不可欠だ。

「まず、NK細胞は、精神状態に大きく影響されることがわかっています。特に大切な人との別れなどネガティブなストレスには非常に弱い。気の置けない仲間との食事など、不安やストレスを上手に回避する術を持っていることが免疫を下げないコツです」

 また、偏った食事を続けたり、激しい運動をすることもNK活性が下がる原因に。

「さらに、自律神経にも大きく左右されます。交感神経が優位になる昼は活性が低下し、リラックスして副交感神経が優位になる夜間に活性能力が上昇。このため、夜遅い生活や昼夜逆転生活を続けていると交感神経が優位な状態が続くため、NK細胞が活性されず免疫力が下がります。若いころは、NK細胞が強いので大丈夫ですが、60歳前後から活性能力は大きく低下。50代になったら、NK細胞の活性を意識して生活してください」

イラスト/上田惣子
イラスト/上田惣子

●免疫力を下げない! 奥村流7つの習慣

・食事は何でもほどよいバランスで食べる
・運動はちんたらとやる
・いつも能天気に構える
・1日1回「わはは」と大笑い
・仲間を大事にする
・異性に心ときめく
・夜遊びはしない

お話を聞いたのは……奥村康先生
順天堂大学医学部特任教授。アトピー疾患研究センター長。免疫反応を抑制する「サプレッサーT細胞」の発見者で、免疫学の国際的権威。『健康常識はウソだらけ コロナにも負けない免疫力アップ』ほか、著書多数。

(取材・文/河端直子)