墓埋法が制定された昭和23年以前につくられた共同墓地などは、管理者が不明のケースも多い
墓埋法が制定された昭和23年以前につくられた共同墓地などは、管理者が不明のケースも多い
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 生前にお墓を申し込んだものの、一度も納骨しないまま墓地契約を解消したケースも。

使ってないのに90万円!?

 ある80代の女性は、15年ほど前にお墓の永代使用料として90万円をお寺に支払った。お墓が必要になった際にお寺の敷地のどこかにお墓を建てられるという内容の契約だったが、契約書などの書面はなく、手元には領収書のみが残っている。

 そんななか、昨年夫が亡くなりお墓が必要になったが、墓石を建てる費用や交通の便を考えて別の場所に埋葬することにした。元のお寺に相談したところ、一度も使っていなくても永代使用料90万円は返せないと言われ、諦められずにいる。

 以上のような改葬元とのトラブル以外にも、親族間でもめるケースもあるという。

「墓じまいや改葬は、自分や親子間だけではなく、親族なども関わる話になります。誰かが許可なく墓じまいを進めてしまい、気づいたらお墓参りをする場所がなくなっていて困ったというトラブルもあるようです」(佐藤さん)

 このように、不要なトラブルを起こさないためには、どうしたらいいのだろうか。

「まずは家族や親族間での話し合いですね。お子さんにお墓を管理する手間をかけさせたくないと配慮して、自分の代で墓じまいをしておこうと考える方も多いですが、本当にお子さんが負担に思うのかなどもまず聞いておくべきだと思います。

 墓じまいの後で自分はどこに埋葬されたいか、改葬先についても話しておくべきですね」(佐藤さん)