ポン酢の「ポン」は柑橘系じゃない?

【Q】ポン酢の「ポン」ってなに?

【A】柑橘系の果汁が入ったポンスというカクテルが由来です。

※画像はイメージです
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 ポン酢の「ポン」は、デコポンやポンカンなどにポンがつくことから、柑橘系を指す「ポン」に「酢」という1文字が付け加えられたものだと思っていないだろうか。

 しょうゆ研究家の杉村啓さんによると、「ポン酢はポンスという外来語が由来です。江戸時代、オランダからポンスという柑橘系の果汁の入ったお酒が伝わりました。ポンスはもともとオランダ語で柑橘果汁を意味することもあり、お酒ではなく柑橘系の果汁をポンスと呼ぶように。それにお酢を加えたものを、酢の字をあててポン酢と呼ぶようになったのです」とのこと。

 生の果汁だけではすぐに傷んでしまうため、菌の増殖を防ぐお酢を加えることで保存性を高めたものが調味料として使われていったという。

 さらに使いやすくするために、ポン酢にだしやしょうゆを加えたものをポン酢しょうゆという。現在ではミツカンのポン酢しょうゆの「味ぽんR」が全国的に広まったため、むしろポン酢しょうゆのほうをポン酢といい、だしやしょうゆを加えていないほうを生ポン酢といって呼び分ける現象も起きている

 また、ポン酢はもともと鍋の調味料として使われていたので、てっちり鍋など鍋文化が根づいている関西で特に多様化しているという。

「大阪のポン酢をつくる会社は約20社と全国でいちばん多く、多い店では60種類近くものポン酢が売られています。家庭にも複数の種類を常備するのが一般的で、料理や好みに応じて使い分けています。果汁が多く酸味の強いものや、だしが効いた濃厚なタイプのものなど、使い分けを考えてポン酢を選んでみるのも楽しいですよ」(杉村さん)