飼育環境の問題もあるが、イルカを飼育すること自体、世界的に禁止が進んでいる。

劣悪な環境で飼育されているイルカは多い
劣悪な環境で飼育されているイルカは多い
【写真】イルカたちが泳ぐプールに汚れきったサビが……

「飼育基準を厳しくしたイギリスで'93年にイルカの飼育がなくなったことをはじめ、世界各国でイルカの展示が廃止になったり法的に禁止されたりしています。

 これは欧米諸国に限らない世界的な流れで、インドはイルカを“人格を有する存在”と定め、飼育を禁止しましたし、韓国でも、新規に水族館にイルカを入れることが法的にできなくなりました。野生から捕獲したイルカを消費し続けているのは、日本と中国です」

生け捕りした時点で虐待は始まる

 しながわ水族館のイルカショーは今年1月、存続について品川区議会でも議論がなされた。世界的に批判されていることから、「長期的に継続するものではない」としながらも、「イルカは品川区のイメージキャラクターとして浸透しているため、代わりになるものを考えるのは難しい」と現在も継続中だ。


 東さんが代表を務める団体の職員は、番組に登場したしながわ水族館のトレーナーの“調教”を目撃していた。

「イルカを叩いているのに気がついたので撮りました」と話す動画では、トレーナーはイルカの口先を叩き、言うことを聞かないイルカに対し、苛立ち、あきれているような表情だ。

実際に『しながわ水族館』で行われているイルカショーの模様(東さちこさん提供)
実際に『しながわ水族館』で行われているイルカショーの模様(東さちこさん提供)

「力いっぱい殴っているわけではないですが、トレーナーの苛立ちは伝わってきます。番組にあるような、子どもをあやすような調教ばかりではないということ。キラキラと表面的に都合よく伝えるのではなく、現実としてイラついたり、そのような場面、感情もあることを伝えるべきだったと思います。

 また番組では、ミントの母親である『バニラ』は“推定14歳”と伝えられましたが、この“推定”は、野生のイルカだったことを意味します。金属音の恐怖で捕獲し、死んだ魚を強制給餌で食べさせ、長距離輸送のストレスにさらす。そして芸をしこむ。野生由来のイルカにとって生け捕りにされた時点で虐待は始まっているといえます」(『PEACE』職員)