'20年の小中高生の自殺者は過去最多

 ただ、トー横は、家庭内で虐待されたり、学校でいじめを受けている若者たちの居場所のひとつだ。子どもたちにも、苦しいときはSOSを出すようなことが言われているが、そう簡単な話ではない。

「学校にも児童相談所にも警察にも相談したことがありますが、話を聞くだけで、何もしてくれませんでした」(前出のヨシ)

 そうした事情を警察に相談をした中高生がおり、児童相談所に保護された子もいる。

 SNSで「#トー横」で検索すると、精神的に不安定なユーザーがつながりたいため、「#病み垢」「#裏垢」などと一緒に呟かれている。「死にたい」や「消えたい」と呟いたり、リストカットや過量服薬(オーバードーズ、OD)する若者たちとつながる。アップされた画像にはリストカットし、血を流しているものもある。

 パパ活をさせられていた女の子の中で、自殺した可能性が高い女子高生がいる。その友人、アキ(仮名・15)は「助けられなかったことが後悔。仲がよかった子たちと何人かで後追いも考えました」と振り返る。

トー横周辺では1時間に1回警察の見回りが行われているが、そのたびにキッズたちはいったん解散し、またどこからか集まるという繰り返し
【写真】15歳少年が自らのSNSで拡散した、ホームレス暴行の瞬間

 10代の自殺は、夏休み明けが多い。'15年版「自殺対策白書」では、'13年までの42年間の、18歳以下の自殺者を日付別にまとめた。最多は131人で、9月1日だ。しかし、トー横に集まる若者たちは、夏休み中も常にリスクがある。日常を生きることも困難なのだ。

 警察庁によると、'21年7月までの全年齢の自殺者数は前年比で257人、14・7ポイント減少し、1万2452人となった。ただし、若年層の自殺は増えた。'20年に小中高生の自殺者は479人。職業別統計を取り始めて以降、過去最多だった。7月までで比較すると、中学生の場合、'20年は65人だが今年は75人で1割増。高校生の場合、'20年は131人。今年は188人、4割弱増で、右肩上がりだ。

 '17年10月に発覚した男女9人が殺害された座間事件は、ツイッターに「死にたい」「自殺募集」などとつぶやいた女性が狙われた。事態を重く見た厚生労働省はLINE相談を開始するなど対策を練るものの、若年層の自殺者は増える一方だ。

 トー横にいる若者たちは、それだけでSOSのメッセージを体現している。

取材・文/渋井哲也 教育問題、自殺などを取材。著書に『学校が子どもを殺すとき』(論創社)、『ルポ 平成ネット犯罪』(筑摩書房)、『命を救えなかった釜石・鵜住居防災センターの悲劇』(第三書館)など