親の介護

介護が必要と認められれば、手厚い介護支援が受けられる!

 年老いた親の介護。いつかその日がやってくるとはわかっていても、ついつい準備を先送りにしてしまいがち。でも今は、介護する人の負担を減らしてくれる制度がいくつも用意されている。ある日突然やってくる「いつか」に向けて知っておきたい公的支援を紹介。

●介護の心強い味方「介護保険」

 いざ介護を始めてみると、家族だけで介護をするのは思った以上に大変。「誰かに助けてほしい!」と思ったときに頼れるのが、プロによる介護サービスを受けられるよう、保険料と税金でサポートしてくれる「介護保険」制度だ。

 介護サービスには、介護福祉士や訪問介護員による自宅での介護やリハビリ、介護施設の利用、介護用品の貸し出しなど、さまざまな種類が用意されている。介護が少しでも楽になるよう、家族の状態を踏まえた介護プランを考えてもらうことも可能だ。

 この制度では最大36万2170円の介護サービス料が支給される。金額は心身の状態による7段階の要介護度によって異なるが、多くの介護サービスを所得に応じて1割から3割の自己負担で賄えるのは大きな助けになる。

「30万円分のサービスを受けても1割なら自己負担は3万円。手厚い保障といえます」

 この制度は申請制なので、まずは自治体に相談を。

●医療費負担が少なくなる「後期高齢者医療制度」

 人生で最も医療費がかかるのは、75歳から84歳の間だといわれている。「後期高齢者」と呼ばれるこのころになると、複数の病気を抱えている人が増え、病院や訪問看護のお世話になる機会もグッと増えることが多い。

 そんな後期高齢者やその家族の負担を減らし、安心して医療を受けられるようにするのが、75歳以上の人が加入する保険「後期高齢者医療制度」だ。

「医療費の大部分を国と自治体が賄ってくれるので、窓口での負担は1割ですみます」

 この制度への特別な申し込みは不要。75歳になると自動的に切り替わるので安心だ。

●上限を超えた分が戻る「高額医療・高額介護合算療養費」

 こちらも、高額になりがちな医療費や介護費を支援してくれる制度。一度支払った医療費と介護料を合算し、年収に応じて、定められた自己負担額よりも多かった場合、超えた分のお金が戻ってくる。

 例えば、夫婦ともに70歳、国民年金暮らしで、年金収入が80万円以下の非課税世帯なら、医療費と介護料を合算して年間19万円を超えた分が戻ってくる。

 医療費や介護費がかさむ高齢者の財布にやさしい制度だ。

【介護保険メモ】

(1)誰がもらえる?
 →40歳以上の人
(2)いくらもらえる?
 →最大36万2170円支給自己負担1割(収入が多い世帯は2~3割)で各種介護サービスが受けられる
(3)申請先は?
 →市区町村

【介護保険で受けられる主なサービス】

・介護サービスのプラン作成
・自宅に訪問してもらい受けるサービス
・日帰りや宿泊の施設で受けるサービス
・住宅改修費の支給
・福祉用具に関するレンタルサービス
・地域密着型サービス