生前贈与の始めどきかも…

 ちなみに、相続税がかかるほどの財産がない場合、“自分には関係ない”と思ってしまいそうだが、私たち庶民でも何かやっておいたほうがいいのだろうか?

「実はもう1つ、ゆくゆくは改正される可能性が高いものがあります。それが、相続税の非課税枠(基礎控除額)です。これをさらに減らして、相続税がかかる人を増やしていく可能性はあります」

 自分は金持ちではないから大丈夫と思っていても、いずれは相続税がかかるようになってしまうかも!

「だから、妻や子、孫に渡したい財産があるのなら、生前贈与に関する非課税枠がある今のうちに、贈与をスタートしておくのもひとつの手だと思いますよ。

 暦年贈与の場合、2022年4月から改正スタートの場合は、今年の年末までと'22年3月末日までの2回、110万円の非課税枠を利用できるチャンスがあります。ほかにも表のとおり、贈与税非課税の特例がいろいろあるのですが、利用条件が厳しくなっているのが現状。期限がくる前に活用するといいでしょう

実は増税路線!? 岸田政権の目論見

 西原さんによれば、税制改正は「政治家の思惑が大きく影響することが多い」そう。そこで注意したいのが、岸田政権の動きだ。

「岸田内閣になってから少しずつわかってきたのが、やはり岸田総理は財政再建をやりたいんじゃないかということ。財政再建をするには、税金を増やしつつ国の支出は減らさなくてはなりません。コロナ禍に配慮しておおっぴらには言いませんが、18歳未満の10万円給付に所得制限つけたり、Go Toトラベルの枠を下げたりするなど、歳出を圧縮したい思惑が感じられます。

 言ってしまえば、今回の改正は増税案です。相続税は富裕層にかかる税金というイメージがあるので、“相続税の節税は許さない”という姿勢への反発は少ないかもしれません。そういう意味で、改正が早期に実施される可能性は十分にあります」

 ただ、政治の状況によっては、この増税案を押し返すことが可能かもしれない。

「コロナ禍の今、それも来年夏の参議院選挙を控えた大事な時期に、こんなインパクトの大きい案を実施するのかなという疑問はあります。世論の動向を見極めつつ、進めていくのではないでしょうか」

 まずはできるうちに生前贈与は進めておくこと。そのうえで、贈与税・相続税一体化の行方に目を光らせておかなければ!