「野球に集中できない」

 ネタを探すマスコミへエサを垂らせば池の鯉のごとく食いつく。そのエサをおとりに、チームに水を差す危険性を下げるというのだ。

 現役時代はヴェルサーチのスーツを身にまとい、札幌ドームの天井からミラーボールに乗って登場するなど、目立ちたがり屋そのもの。しかし、そのビッグボスには意外な過去があった。

「プロ野球人生が始まった『阪神タイガース』時代は、マスコミのことを極端に避けていたんですよ。プロ3年目から頭角を現し始め、人気も急上昇。関西マスコミからの取材攻撃は毎日続き、辟易していたといいます。

 試合のない休日はどこで何をしていたとか、いちいちそんな質問にも答えないといけない。雑誌の取材でも“おねしょは何歳まで?”とか“好きなファミコンのソフトは?”とくだらない質問の数々。

阪神タイガース時代の新庄剛志(1999年オールスターゲーム)
阪神タイガース時代の新庄剛志(1999年オールスターゲーム)
【秘蔵写真】新庄剛志、中学3年生の時点で身長が180センチを超えていた

 メジャーに挑戦する年のオフ、球団幹部のひとりに“阪神にいるとプライベートのことも大げさに書かれるし、野球に集中できない”と漏らしたこともあったそうです。自宅や行く先々でマスコミに追いかけられ、精神的に参っていたと聞きました。メジャーに挑戦したのも、阪神から出るためだったかもしれません」(球界関係者)

 あのビッグボスがまさか“マスコミ恐怖症”だったとはーー。

 '00年のオフに海外FA権を行使してメッツへ移籍。3年間の米国生活を経て、日本ハムで日本球界に復帰した。それからの「新庄劇場」は、阪神時代のトラウマを活かしたものだったのだ。

 自分から話題を与えることでマスコミをコントロールしてきた新庄監督。マスコミを手玉に取るビッグボスは、シーズンも緻密な作戦でチームを優勝に導くかもしれない。