それでは私たちは、どうやってよい医者を見つければいいのだろうか。

「まず、話をていねいに聞いてくれるかどうか。患者の緊張をほぐしながら悩みや希望を聞き出すのがよい医者というものです。そして、の現状や治療方針、費用までを説明し、患者の了承を得てから治療に入るのがいい医者です」

 つまり、医者と患者が対等なコミュニケーションがとれることが、納得できる治療への近道なのだ。

「高額で最新の治療が最良の治療というわけではありません。よい治療というのはとかく地味なもの。決して医者まかせにせず、2、3軒回るくらいは覚悟して、信頼できる医者を見つけてほしいですね」

 80歳で自分のを20本残すのが目標といわれるが、その可能性は医者選びにかかっていると肝に銘じたい。

実録!「危険な歯医者」

「いちばん大事な小臼をあやうく抜かれるところでした」鈴木綾子さん(20代、仮名)

 ずーっと頭痛に悩まされていて、もしかしたらかみ合わせが悪いのかと思って、職場の近くの感じのよさそうな科医に行きました。

 40代くらいの医師で、レントゲンを見せてくれながら「小臼がひび割れしているのが頭痛の原因。抜いて治療し、入れにしましょう」と言われたのです。

 突然だったので納得できず、帰ってインターネットで検索。「抜かない医者のひとりごと」というブログを書いていた斎藤先生の科を訪ねました。すると「小臼はいちばん大事な。ひび割れくらいで抜いたらダメ」と言うじゃないですか!

 しっかり治療すれば抜かずにすむとのこと、診断のあまりの違いに驚きました。ひび割れを治療し、頭痛は肩こりや食いしばりが原因とわかったので対策をして改善しました。最初の医者の言うとおりにしていたら、20代で入れになっていたかと思うとゾッとします。