こんな歯医者に行ってはダメ!

■「親知らずは抜きましょう」と言う

 親知らずをすぐに抜こうとする医者は信用できない。磨きが行き届いていれば、虫になっていない親知らずを急いで抜く必要はない。

■「まだ骨があるうちに」とインプラントをすすめる

 高齢者にかけられることが多い脅し文句のようなひと言。槽骨があっても、その下の下顎骨がやせてもろくなっている高齢者にはインプラントは適さない。

■ 科衛生士ばかりで先生がなかなか出てこない

 科衛生士にまかせっきりで、科医は治療のときだけ出てきてすぐに別の患者へ。これではゆっくり相談することも説明を求めることもできない。

■ 何回にも分けての清掃をする

 上下2回に分ける程度ならいいが、何回にもわたってクリーニングや磨き指導に通院させるのは、保険点数稼ぎかも。

肉の触診をしない

 肉の状態やのぐらつきは、外から見ただけではわからない。触らないで正しい診断は決してできない。

■ 担当医がコロコロ変わる

 誰が主治医なのかわからない状態は、患者に不安を与え、また、コミュニケーションもとりにくい。アルバイト医師が担当している可能性も高い。

■ 1人ですべてやっている

 助手も科衛生士も不在だと、治療の手際がガクッと落ちる。会計まで1人でやっていたら、人件費削減のためでしかない。

■「いずれダメになる」と抜をすすめる

 いずれとはいつのことなのか具体性が乏しいうえに、を少しでも長持ちさせる努力を放棄しているかのような言動には要注意。

■「やってもいいが時間とお金がかかる」と言う

「この治療はお金と時間がかかりますよ」という説明は、ラクで簡単にできる抜への誘導の可能性あり。

いい歯医者は知っている!「歯科治療の新常識」

【1】高齢になったら奥はなくても大丈夫

 80歳を過ぎたら奥といわれる大臼がなくても、その手前の小臼さえ残っていれば問題はない。「かむ力も弱ってきて、かたいものを食べる機会も減っているのも理由のひとつです。高齢で骨が弱ってきているのに、インプラントをしてまで奥を残そうというのは、むしろリスクのほうが高いと思います」

【2】は磨きすぎより、マッサージが大事

 磨きが大事なのは当然だが、回数が多いほどいいというわけでもない。年齢が高くなってくると、虫よりも周病のリスクが高くなるので、むしろ肉のマッサージを習慣に加えたい。「ブラシで磨いたあと、指で肉をマッサージします。血管が刺激され、周病菌が嫌う酸素が肉のすみずみに運ばれて予防と改善に」

【3】実は入れには多数のメリットあり!

 入れは合わない、かみにくい……というイメージがありますが、それは科技工士の技術の問題。「残念ながらいい技工士は減っているのですが、きちんと作ればいい義は快適です。手術のリスクもなく、インプラントと違ってはずしてメンテナンスができるのは高齢者にとってはメリット。介護の現場でも歓迎されています」。インプラントだけでなく、入れも大事な選択肢のひとつだ。

【教えてくれた人】斎藤正人先生/サイトウ歯科医院院長。長年、なるべく歯を抜かない治療を続けており、同院は歯のトラブルに悩む人が押し寄せる「歯の駆け込み寺」になっている。

(取材・文/野沢恭恵)