「学生の意見を聞くことはないだろう」の無力感

 廃止の件を知らなかったのは学生だけではない。京大職員にも話を聞いた。

そもそもこの計画が、現場で働く医師やカウンセラーから出たものではなく、そういった人たちすら何も知らないところでいろいろなことが進んでいるのが大問題であり、とても残念に思います

 反対しているのは、学生だけではないのだ。

学生も職員も保健診療所で働いている人も教授も含め、みな寝耳に水の話であり、次がどうなるのか、きちんと決まっていないなかで廃止することがいちばんの問題だと思います」(三浦さん)

 実は、このように反対意見が多数出るような大学側の決定は、ここ数年、京大で数多く起こってきたことだという。

大学側と学生が対話ができる『情報公開連絡会』は廃止に。代わりに学内メールで大学当局に個別に送る形になりましたが、学生番号などを記載しないと回答がなされないので、停学や学籍の処分の対象となるのではないかと懸念している学生もいます。そもそもメールを送っても、テンプレート回答ばかりで、多くは“回答できません”ばかり。大学側は学生の意見を聞くことはないんだなという無力感は、多くの学生が共有している気持ちだと思います」(駒形さん)

さまざまな主張をできるなど“自由”のシンボルだった京大のタテカン(立て看板)
【写真】学生がさまざまな主張をしてきた京大名物のタテカン(立て看板)

 そのほか、京大の名物の1つでもあった“タテカン”(キャンパス周辺にサークルなどが設置する立て看板)の強制撤去や、学生寮からの退去を話し合いを持たずに求め裁判になるなど、大学の“横暴”は少なくない。入試時、学内にオブジェを作り、受験生たちを賑やかすのが恒例だったが、'18年の入試でオブジェを作った学生がけん責処分となった。“目立つと処分されるかもしれない”。今、京大に通う学生に少なからずある意識だ。今回取材に応じてくれた現役京大生が仮名となったのはこれが理由だ。大学への信頼は地に落ちている。

 京都大学に今回の決定に至った理由について問い合わせたが、期日までに返答はなかった。『存続を求める会』が提出した要求書や署名に対しても返答はないが、引き続き求めていくという。

 自由な大学は今、非常に“不自由”になっている。

《取材協力:京大保健診療所の存続を求める会