親子丼に限らず、食材の大きさは料理の仕上がりに大きく影響します。例えばレシピに「ひと口大に切る」とあれば1寸=3cmに切るのがセオリーで、このサイズは口の大きさから導き出されます。ひと口で頬張ってほしいお刺身は、最大辺をこの長さに収める必要があるわけです。

 それよりも食材を大きく切ると、噛むという作業が生まれます。例えばアスパラガスなどは前歯で噛んだ食感がおいしいので、5cmくらいに切るのがいいでしょう。咀嚼感もまたおいしさの要素ですが、食材をどの大きさに切るかでコントロールできます。

 そう考えると料理と建築はどちらも人間の身体性が関係しています。「どんなふうに料理するのか」という問いは「人間にとっての心地よさ」を考えるのと同義なのです。

鶏そぼろの親子丼を作るコツ

 鶏そぼろを使った親子丼は、通常の鶏肉を使ったものよりもご飯との一体感が強いのが特徴。親子丼に限らず、卵とじ系の料理のコツはただひとつ。卵を溶きすぎないことです。溶きすぎないことで固まった白身に濃厚な黄身が絡むふんわりとした食感が出せます。白身と黄身が完全に混ざる前に手を止めましょう。

 親子丼はゆるく固まった卵で具材と煮汁のあいだに一体感をもたせた料理です。写真を見れば白身は白身、黄身は黄身で固まっているのがわかると思います。やや分離した状態に仕上げるのがゆるく固めるコツで、全体を均一にしないことで食べ飽きません。

材料(2人分)
鶏そぼろ…100g
水…100ml
卵…4個
ご飯…茶碗2杯分

※鶏そぼろ(つくりやすい分量)
鶏ひき肉…300g
醤油…大さじ4
砂糖…大さじ4
酒…大さじ4