8 固定費を一気に見直して浮いたお金を貯金にまわす

「40~50代は所得も上がるし、子どもも大きくなってきて生活水準が上がりがちです」

 だからこそ、たとえ今が黒字家計でも、老後に備えて日々の支出を見直すこと!

「特に毎月決まって出ていく固定費は、子どもが独立したタイミングなどで徹底的に見直しましょう。クレジットカードや銀行口座から自動引き落としされているもので、いらないものは止めるんです」

 インターネットの接続料金、衛星放送の料金、スポーツジム代などは削減効果が高い。

「スマホ料金は格安スマホに乗り換えると大幅に減らせますが、サポート体制がいまひとつ。スマホの設定に自信がない人は従来のキャリアのままにして、ギガ数の少ないプランに見直す程度にとどめましょう」

 電気代を削る方法もある。例えば子どもが独立したら、契約アンペアを小さくしてもらうと、基本料金が安くなる。また、電力自由化によって誕生した新しい電力会社に乗り換えると1割程度安くなる可能性が。「エネチェンジ」など比較サイトを利用して、わが家に合った電力会社をリサーチしてみよう。

見直すべきはこの3つ!

1光熱費
 新電力会社への乗り換えで電気代が約1割ダウンする可能性が。

 年約10万円の電気代の家庭が新電力会社に乗り換えると…
 電気代が年間1万円×10年=10万円

2スマホ代
 自分でスマホの設定ができるなら、夫婦で格安スマホに乗り換えを。

スマホ代月8000円の夫婦が格安スマホに変えると…
スマホ代が月5000円×10年×2人=120万円

3インターネットや衛星放送などの料金

 不要な衛星放送などを解約して、Amazonプライムビデオなどを利用する。
衛星放送から格安動画配信サービスに乗り換えると…
動画視聴代が月3500円×10年=42万円

9 「ほったらかし投資」でお金をがっぽり増やす!

 夫婦で年40万円ずつ10年積み立てて利回り3%の場合
積立金800万円+運用収益約66万円×2人分=132万円

 新型コロナやウクライナ情勢。予測不能な出来事が次々と起きて、式相場は上がったり下がったり。をやっていると「あのときに買えば儲かったかも」などと考えてしまう。

「この先、価が上がるか下がるか、売りどきや買いどきがいつかは投資のプロにさえわかりません。ただ、長期的にみて社会は必ず成長すると思えるのなら、目の前の価が上がろうが下がろうが、愚直に積み立てを続けることが大事です。運用をプロに任せる投資信託なら少額ずつの積み立てコースがありますし、いろいろな銘柄に分散して投資ができますから、初心者におすすめです」

 投資信託で積み立てるとなると、おすすめは国が投資を支援する制度「つみたてニーサ」を利用すること。運用益が非課税になるメリットも。

「つみたてニーサは1人当たりの積立額の上限が決まっていますから、たくさん投資したいなら、夫婦それぞれの名義で口座を作るといいですね」

初心者におすすめの投資信託
・日経平均(またはTOPIX)連動型インデックスファンド
・世界式連動型インデックスファンド

10 個別の株を買って配当&株主優待でトクする

 ニーサで100万円相当・配当利回り1%の式を5年持ち続けた場合…
1万円×5年=5万円

 自分でいろいろ企業の業績をチェックして、個別投資して、もっと老後資金を増やしたいという人もいるだろう。

「初心者は、短期的な売買で値上がり益を狙うよりは、長く持ち続けてこつこつ配当金や主優待を受け取るのがおすすめ。収支が黒字になっていて、価の変動が少ない会社を狙えば、平均で1.9%程度の配当をもらい続けられます」

 例えば、イオン式会社の場合、4月1日現在の配当利回りは1.39%。さらに、主優待で毎日の買い物額に応じたキャッシュバック(100保有で3%)が受けられる。近所にイオンがある人はねらい目だ。

 ただ、どんな企業でも、価が大きく下がることはある。

「一時的に価が3割くらい下がることはあります。ですから、“3割下がっても持ち続けられる金額”を投じるようにしましょう。そして、1社が値下がりしても耐えられるよう、複数の企業に分散して投資することも大事です」

教えてくれたのは山崎俊輔さん
●ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。お金に詳しくない人にもわかりやすく、親しみやすい老後資金の増やし方を解説するエキスパート。著書に『日本版FIRE超入門』などがある。

<取材・文/鷺島鈴香>