東大、京大よりもハーバード、ケンブリッジへ……。海外の一流大進学に通じるインターナショナルスクールの開校が相次いでいる。とりわけ目立つのが、伝統と高額な学費で知られるイギリス系の全寮制学校。なぜ地方で続々とつくられ、どんな親たちが子どもを通わせているのか、その理由に迫る!

子ども1人にかける教育費が増加

 岩手県八幡平市にある安比高原。スキーリゾートとして知られるこの地に今年8月、イギリスの名門校と連携した全寮制私立校が誕生する。

「イギリスのチャーチル元首相も学んだ『ハロウスクール』の系列校で、すでにアジアではタイ、香港、中国などに開校しています。それが創立450年を機に、『ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン』(以下、ハロウ安比校)がつくられるとして、注目を集めているのです」

名門・ハロウ校はロンドンが発祥※ハロウスクールのユーチューブより

 そう話すのは『インターナショナルスクールタイムズ』編集長で国際教育評論家の村田学さん。ハロウ安比校は11歳~18歳の男女を対象にした7年制。生徒の内訳は日本勢と海外勢が半々で、中国、シンガポールなどのアジア圏のほか、アメリカやフランスから入学する生徒も。授業はすべて英語で行われ、教員はイギリス人が中心だという。

少子化や核家族化が進んでいるのは世界でも同じ。そのため子ども1人にかける教育費が増えていて、その傾向は富裕層ほど顕著です。それに親としては、思春期の子どもにどう向き合い、難しい年ごろを乗り切っていけばいいのか悩むところ。この時期にしっかりと教育をして、自立心を養ってくれる存在として、インターナショナルスクールへの期待が高まっているのです」(村田さん、以下同)

 ハロウ安比校だけではない。そうした学校がここ数年、日本各地に次々とつくられている。

「なかでも目につくのが、2023年に開校予定のマルバーンやラグビー校といったイギリス系の名門校。また都心ではなく、自然豊かな地方や郊外での開校が目立つのも特徴です」

 近年、開校した・開校予定の主なインターナショナルスクールは後述の通り。所在地に目を向けると確かに地方が多く、ラグビー校が開校予定の小平市は東京都といっても郊外にあたる。長野県の白馬村や軽井沢町は国内有数のリゾート地、広島県の神石高原町は風光明媚な観光地だ。

「リゾート地の中に学校をつくると、それを目当てに保護者が世界中からやって来て、地元にお金を落とします。またハロウ校のように世界展開する学校では、系列校の間で学生同士の交流も盛んになると考えられます。イギリス本校からインド校へ、インド校から香港校へといった具合に飛び回ることも今後はできるようになるでしょう。

 ハロウ安比校はスキー客の減少に悩むリゾートホテルが誘致したものですが、今回成功すれば、町おこしを狙って学校の誘致に動く自治体が出てくるかもしれません」

 国際色あふれるキャンパスの中で、子どもたちは自然と触れ合いながら、さまざまな事柄を学んでいく。併設されているスキー場やゴルフ場で課外授業を受けたり、乗馬を楽しんだりもできる。

「“チューター”と呼ばれるスタッフから個別指導や進路相談を受けられるので、塾通いも不要。1つのところで何でもそろう、いわば“学びのショッピングモール”になっています。

 加えて、インターナショナルスクールでは探求型の学びが重視されます。例えばベートーベンについて学習するとき、単に音楽の授業を受けるわけではありません。時代背景や歴史を理解して、そのうえで楽器を自由に選び、演奏する。それらをすべて英語で行います。語学力だけでなく、疑問を掘り下げ探求する力が養えます」

 充実した教育環境であれば当然、それに見合った学費が必要になる。

「小学校に上がる前の子どもが通うプリスクールの場合、年間100万~150万円が相場です。小中高で150万~250万円ほど。全寮制となると生活費や食費も必要になるため、500万~1000万円といわれています。ちなみに、全寮制小学校の神石インターナショナルスクールでは約700万円、ハロウ安比校はサマースクール代も含め1000万円かかります」

 日本の平均年収は433万円。普通の勤め人の家庭では手が届かない……。

「インターナショナルスクールでは多様性を重視しています。生徒の性別や国籍といった面だけでなく、所得分布も画一的にならないよう、返済不要の奨学金を充実させている学校が多い。子ども自身の成績や親の所得にもよりますが、打つ手はあります」