インターに向いているのは、こんな人

 そもそもインターナショナルスクールと日本の学校には、どのような違いがあるのだろうか。村田さんによれば、インターナショナルスクールに法的な定義はない。アメリカンスクールや朝鮮学校のような、特定の国籍や民族を対象とした学校とも異なる。文部科学省は“主に英語で授業が行われ、外国人の児童生徒を対象とする教育施設”との見解を示している。

「インターナショナルスクールは国が法律で定める義務教育機関の対象外。インターの小中学校に通わせたとしても、保護者は子どもに学校教育を受けさせる『就学義務』を満たしていないことになってしまいます」

 昨年7月には、名古屋市の複数の区役所から、インターナショナルスクールなどに子どもを通わせる保護者に対し就学義務の違反だとして、学区の公立小に通わせるよう促す督促状が送られていた。

「これを防ぐには、本来通うべき小中学校の校長先生から承諾を得て、不登校扱いにするという方法があります。承諾してくれるかどうかは学校によりけり。対応にばらつきがあるのが現状です」

 大学進学についても注意が必要だ。文科省が“日本の高校相当”と認定した学校や、国際的な評価団体から認定された学校でなければ受験資格を得られない。

「海外の大学へ進学するには『国際バカロレア認定』『ケンブリッジ大学国際教育機構認定』などの大学出願資格を取得しなければなりません。インターナショナルスクールの中には、こうした国際資格の認定校が多くあるほか、資格取得を見据えカリキュラムを組む学校も増えています」

 事前に調べておくとともに、適性も見定めたいところ。

「ルールや制約があったほうが動きやすいタイプと、その是非を自分で考えて決めたいタイプがいたとします。インターナショナルスクールに向いているのは後者。世界を舞台に活躍したい人、外資系企業で働きたい人も向いているでしょうね」

 気をつけたい問題はほかにもある。教育ジャーナリストのおおたとしまささんが指摘する。

教育とは、自分が暮らす国の文化に根差したもので、学校はそれを継承していくところ。例えばハロウ校の場合、イギリスの上流階級の文化を受け継ぐ学校です。将来的にそこで生きていくつもりなら合理的だと思いますが、日本で生きていくのであれば話は別。

 中高生の間に学ばなければならないものは歴史をはじめ、古文や漢文など、ほかにもたくさんある。英語や国際感覚を身につけられたとしても、その一方で、言語として日本語を深く学ぶ機会を失うおそれがあると思います

 グローバル化の風潮に惑わされるのではなく、何のために学ぶのか、自分で見極め考える力が必要だ。

近年、開校の主なインターナショナルスクール

開校時期・学校名(所在地)

2014年9月・ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン(長野県北佐久郡軽井沢町)

2020年4月・神石インターナショナルスクール(広島県神石郡神石高原町)

2022年8月予定・ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン(岩手県八幡平市)

2022年9月予定・白馬インターナショナルスクール(長野県北安曇郡白馬村)

2022年9月予定・国際高等学校(愛知県日進市)

2023年9月予定・マルバーン・カレッジ東京(東京都小平市)

2023年予定・ラグビースクールジャパン(千葉県柏市)

※編集部調べ