大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、木曽義仲(青木崇高)の嫡男・義高を好演。登場回(4月3日放送)では、許嫁に反対していた北条政子(小池栄子)も“良いお顔立ち”と秒でメロメロ。いずれ義仲の仇を討つべく立ち上がることを怖れられ、非業の最期を迎えると、多くの視聴者が哀しみに暮れた。

「放送されるごとに、すごく大きな反響をいただいて。自分が思わぬところに反響をいただくこともありびっくりしたり、うれしく思ったり。いちばん意外だったのは、蝉の抜け殻のシーンへの反響でした。大河ドラマに出演したことで、空間を意識する舞台と映像作品とでは、お芝居をするとき発声方法が異なることも改めて実感しました」

祖父・松本白鸚からは「頼らないでね」!?

「義高と信康は、若くして悲劇的な運命をたどるところが似ていると思います」

 木曽義高から徳川信康へ。市川染五郎が『六月大歌舞伎』の第二部『信康』にて、歌舞伎座初主演を飾っている。

「年齢的にも技術的にもまだまだですので、本当にありがたいお話をいただいたなと思いました。主役であろうが脇役であろうが、舞台に対する心意気は変わりませんが、自分にお客様を集められる力があるだろうかというところに不安もありました」

 17歳とは思えぬ、舞台への真摯な心構えを語る。徳川家康の嫡男・信康にスポットを当てた『信康』の上演は、'96年に市川海老蔵(当時は新之助)が演じて以来、26年ぶり。織田信長から謀反を疑われる信康と、信長に抗えず葛藤する父・家康(松本白鸚)。戦国の世に翻弄されて生きた親子の愛を描く。

「稽古前、祖父(松本白鸚)からは“自分のことで精いっぱいだから、あまり頼らないでね”と言われたんですけど、どこまで本気なのかちょっとわからなかったです(笑)。

 祖父は舞台でも映像作品でも、魂を削るような表現をしていると感じていて。自分も魂を削る表現ができるよう、信康を作っていきたいです」

 初日を迎える前に、物語のゆかりの地である岡崎城(愛知県)や二俣城跡(静岡県浜松市)などを訪れ、役のイメージを膨らませていったという。

「信康を描いた作品では萬屋錦之介さんの映画『反逆児』('61年)が有名で、気性が激しく、乱暴者に描かれているのですが、それだけではない。戦の能力にたけ、とても理知的であるがゆえに、信長がいずれ脅威になると感じた。徳川家のために自ら命を絶つ選択をしますが、決して憐れでみじめな人ではない。最後まで自分の強さを貫いた人だと思っています」

 そんな信康と自身との共通点を尋ねると、

「うーん。何でしょうね? 考えたことがなかったです。逆に似ていない点は、(信康は)頭がいいところかな(笑)」