日テレ作品との違い

 また、19年4月から2クール連続放送された『あなたの番です』(日本テレビ系)は、ドラマ前編のヒロイン・手塚菜奈(原田知世)などを殺害したのは後編のヒロイン・黒島沙和(元乃木坂46・西野七瀬)だったのだが、これもネット上の考察班から「ガッカリ」されていた。

「人気アイドルグループ出身者が悪役を演じることは、サプライズ感があるといえばそうですけど、最初から“重要な役だろう”という予想もつく。しかも、沙和は終盤でいきなり“俊敏に動ける殺人鬼”だったことが判明したため、やっぱり“地道に考察を重ねるだけ無駄だった”との声はありました。

 制作側からすると、ネットユーザーが考察過程で盛り上がり、話題にしてくれることが重要なのかもしれませんが、真剣に考察してきた側からすると、真犯人の設定を“後出し”されると文句を言いたくもなるのでしょう」(同・前)

 とはいえ、現在の“考察系ドラマ”ブームを誘発したのは『あな番』であり、日テレは昨年10月〜今年3月までやはり2クール連続の『真犯人フラグ』も放送。ともにネット上では話題を呼んだものの、視聴率的には前者が全話平均9.3%、後者は全話平均7.7%だった。

'19年、ドラマ『あなたの番です』打ち上げに参加した田中圭
'19年、ドラマ『あなたの番です』打ち上げに参加した田中圭
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「一方、TBSが4月から放送した『マイファミリー』は1クールですっきり終わり、全話平均も12.9%と好成績を収めました。『テセウスの船』のほうが全話平均13.4%で高視聴率ですけど、どちらも『日曜劇場』というTBSの看板枠で放送されただけあって、考察要素以前に、ベースとしての“人間ドラマ”がしっかりしていましたね。日テレの2作品と比べても、TBSの2作品は個性的すぎる登場人物に頼っていた感じがないのも好印象です」(芸能プロ関係者)

 なお、『テセウスの船』には原作があったが、『マイファミリー』は脚本家・黒岩勉氏のオリジナル作品だけに、“原作ファンなし”でよく健闘したと言える。

 もちろん、主演の二宮をはじめ、演技力に定評がある出演者が多かったことも、視聴者を惹きつけていただろう。富澤の演技を褒める声もあったので、黒幕役でなければ、批判が寄せられることはなかったかもしれない。