値上げラッシュが止まらず、給料は上がらず、子育てや介護は家族の負担が増すばかり―。なんでこんな日本になっちゃったの? 誰に1票を入れても一緒でしょ? そんな疑問を参院選が迫る今、政治本としては異例のロングセラー『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた。』の著者・和田靜香さんに直撃インタビュー!

選挙に行ったら、タマネギの値段が変えられる!?

「政治ってなんだかよくわからないし、正直、選挙も誰に入れたらいいかわからない。そう思っている人は多いと思う。私も以前はそうでした。憲法や戦争、原発など、大きなテーマだけが政治の問題だと思っていたんだけど、違うんですよ。

 例えば今、物価高でタマネギ1個を買うにも躊躇しますよね。でも、選挙に行ったらタマネギの値段が変えられるかもしれないんですよ? 私たちが政治をあきらめなければ、社会はもっとよくできるんです!」

 7月10日に迫った参議院選挙を前にそう話すのは、ライターの和田靜香さん。小川淳也衆院議員と対話を重ねて書いた本『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた。』は大きな話題を集め、ロングセラーになっている。

 どの政党、どの候補に投票するにせよ、「絶対に選挙には行ってほしい」と和田さんは言う。

「最低賃金の問題、困窮して家賃を払えない人が増えていたり、公営住宅が少なかったりする“住宅の問題”など、絶対に変わってほしい、気になる問題はたくさんあります。選挙の争点は国やメディアがつくるものではなく、私たち主権者がつくるもの。そういう自覚を持っていたいですね」

 春先から始まった生活必需品の値上げラッシュは収束しそうにない。円安も勢いを増し、6月末には1ドル137円台まで下落、輸入物価の上昇で食品やガソリンの価格高騰を引き起こしている。それに加えて、税や社会保険料などの負担率(令和4年度)は46・5%に達し、給料の約半分を持っていかれる状況だ。

 こうした負担のしわ寄せは弱い立場に置かれた人ほど、より強く受ける。NPO法人『キッズドア』が子育て中の困窮家庭を対象に、物価高騰の影響を調査したところ、48%が「生活が大変苦しくなった」と回答していた。

「貧困と格差が広がる中で、苦しい暮らしにあえぐ人たちが多くいるのに、政府は軍事費を増やそうとしていますよね。それでも政治は変えられるし、変えなければならない。私と同じように苦しんでいる人たちに、ぜひこのことを伝えたいです」

 その強い思いが、和田さんの原動力になっている。

 ライターとしてのキャリアは30年以上。著書も多数。それでも女性で50代かつ、ひとり暮らしで不安定なフリーランスの和田さんも、長引く不況の中で生活は苦しく、不安は大きかったという。

「先なんて何も見えないし、こんな状態で、この先も生きるのかと思うと絶望しかなくて。だったらあと3か月だけ生きることにしよう、と思って生きてきました。それだけなら、なんとか生きていける気がしたから……。『時給はいつも最低賃金』を書く前は、その3か月を更新しながら生き延びてきた、という感じでした」

 そんな中、コロナ禍でアルバイトもクビに。絶望的な状況に陥ったが、雑誌のインタビュー仕事で小川議員に出会った。今の日本の状況を語りながら、何度も「政治をあきらめたくない」と語る小川議員に胸を打たれ「この人と本を作りたい」と、押しかけるようにして会いにいった。

和田靜香さん(左)と立憲民主党の衆院議員・小川淳也氏

「インタビューというよりも、私の窮状をとにかく訴えにいったという感じ。もうすがるような感じでした」

 と和田さん。しかし、小川議員と対話を続けるうちに、一気に視界が開けてきた。

「それまでの私は、自分が今こんなに貧乏なのも、生きづらいのも、自分のせいだと思っていた。若いときにちゃんと就職しなかったから? 能力が低いから? そんなふうに思っていたんです。でも、小川さんと話して、政治や社会の仕組みを知っていくうちに、苦しいのは自分のせいじゃないんだとわかったんです。そう気づいたら、もう、3か月と区切らなくても生きていける気がしました」

 希望が見えたら、あとは一直線。小川さんとの2冊目の共著となる『選挙活動、ビラ配りからやってみた。「香川1区」密着日記』では、政治を変える最初の一歩である選挙活動にビラ配りから参加、体当たりで飛び込んだ。

「応援する候補、つまり“推し”がいると、選挙って楽しいんですよ。政治家も候補者も、ジャニーズJr.から育て上げて、まずはこの1票で私がスターにしてあげるわ、みたいに(笑)。外交とか安保とか難しくてよくわからなければ、ちょっと横に置いておいて。生活が苦しいからタマネギの値段どうにかしてよ、みたいにどんどん注文をつけていくことで、候補者も有権者も成長するんだと思います」