目次
Page 1
ー 切り抜かれた表情や口調を評価される恐ろしさ
Page 2
ー “公共”放送の意味とは

 安倍晋三元総理への銃撃事件をめぐり、NHKの報道姿勢に疑問が投げかけられています。

 事件発生直後、未成年である女子高生2人のインタビューを顔出しで放送したところ、一部のネットユーザーが心ない言葉を浴びせる事態になったからです。

切り抜かれた表情や口調を評価される恐ろしさ

当記事は『女子SPA!』(運営:扶桑社)の提供記事です

 筆者もリアルタイムでこの映像を見ていました。突然の出来事で状況が把握できないなかでも、冷静に対応した彼女たち。ショックを受けているはずなのに、記者に気を遣ってか、時折笑みまで見せつつ丁寧に話していました。

 ところが、この彼女たちの表情や言葉遣いに対して、ツイッター上で“こんな事件なのに笑顔なのが不快すぎる”、“犯人に「してはる」なんて敬語を使うのはおかしい”など批判の声が上がってしまったのです。

 当然彼女たちはふざけていたわけでもないし、容疑者に同情していたわけでもありません。少し考えればわかることですよね。

 にもかかわらず、瞬間を切り抜かれた表情や口調だけで、事件全体に対する彼女たちの態度が評価されてしまう恐ろしさ。

 その後、彼女たちの反応を擁護する声も次々とあがりました。“笑顔になるのは衝撃を和らげる防衛反応だ”、“「〜してはる」という言い方は、関西圏の地域によっては敬語表現ではない”など、解説するツイートに、いまでは多くの賛同が集まっています。

 こうした議論以外にも、そもそもあの場で一般市民にインタビューすることが適切だったのかを問う声があがっています。元総理を銃撃するという異常事態において、まずは心的外傷をできる限り防ぐべきだったのではないか。それが未成年相手ならなおさらだと。

 そうした点から、今回のNHKの報道姿勢には著しく配慮が欠けていたと感じる人がいるのです。