米国大使館は当時、この逮捕劇を国際結婚における親権への意識の差から生じたものとして、《離婚と子供の養育に関する認識には違いがある。親が子供を連れ去ることは、日本では犯罪とみなされない”としています》との見解を示した。

 事の結末としては、Bさんの主張は認められずに“子どもを連れずに日本を去る”との条件で釈放されて帰国。日本の裁判所はのちに法廷を通した上で、Bさんに“子の親権を訴求できる”との旨を伝えたのだった。

場合によっては「誘拐罪」に問われる

「当時の日本では1983年に発効した、世界100か国が加盟・参加する親権協定、いわゆる“ハーグ条約”に未加盟で、A子さんが海外からわが子を連れ帰ったことは問題とされなかったのです」

 とは前出の社会部記者。ところが近年、国際結婚が多くなり、親権問題などの世界常識から取り残された日本は、2013年に国会で締結して翌年にハーグ条約を発効。海外に倣い、いわゆる片側の親による“連れ去り”行為を規制することを取り決めたのだ。

 主に子が16歳未満の場合、もとより居住していた国、福原と江氏のケースで言えば台湾にあたるのだが、たとえ実の母親であろうとも連れて国外に出れば“連れ去り”行為とみなされる。よって元夫側による子へのDV行為の有無などの例外を除き、元妻は子を台湾に返還しなければ違反になるということ。

「福原さんは離婚時に“共同親権”を得ているだけに、江さん側が面会交流を拒否する権利はありません。しかし、アメリカやカナダでは共同親権であっても、元夫に無断で連れ去ったとしたら“誘拐罪”に問われる場合もある大問題になりかねません」(同・社会部記者)