ケース4. チャットで相談に乗るだけの簡単なアルバイトのはずが…

こづかい稼ぎと思いきや落とし穴も(※画像はイメージです)
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【画像】副業を行う人の負担が増える?「インボイス制度」で影響を受ける事業者一覧

 10代の女性、Dさん。インターネットで「チャットで相談に乗るだけ」のアルバイトを見つけて副業サイトに登録。身分証明書を見せてほしいと相談者の男性に言われたため、保険証と学生証の写真を送った。

 後日、相手の男性から相談の報酬以外に20万円送ると言われた。ただし個人情報交換のため有料の手続きが必要と説明され、合計数万円を何度かに分けて送ってしまった。ところが一向にこちらの取り分の振り込みがない。「手続きがうまくいかなかったのでもう7万円送ってくれ」と言われ、騙されたと気づいた。

 こんなわかりやすい詐欺に引っかかるなんて……と思いがちだが、当事者であればつい甘い蜜に誘われてしまうこともある。

 直接会うリスクなしで、割のいい報酬を手に入れることができる……10代の若者ならばついつい手を出してしまいそうな事例だ。

 消費者庁のホームページでは、怪しい副業やアルバイトにおける特徴として、登録料などの名目で「より多くの報酬を得るために必要だから」といった誘い文句で、利用者にお金を支払わせるケースが多いと紹介されている。インターネット広告を安易に信じてはいけない。

ケース5. 人気が出るよ、とうっかり登録「レンタル彼氏」で詐欺の痛い経験

 高収入アルバイトを探して「レンタル彼氏」に登録した20代男性のEさん。サイトに自分の写真を掲載し、サイトの会員からデートの申し込みがあれば対応して報酬を受けるというもの。登録業者から「君は人気が出るよ」と太鼓判を押され、初期費用と月額サイト利用料をクレジットカードで決済。一度、依頼を受けたものの報酬は支払われず、収入を得るどころか月額サイト利用料でマイナスに。いつでも辞められると聞いていたのに、2年契約なので途中解約は不可だと言われてしまった。

 こちらも、「利用料」という名目で定額を搾取されているケース。友人や知人に誘われてこうした仕事を始めてしまう事例もあり、詐欺を防ぐのが難しい場合もある。少しでも不審に思ったら、警戒をと早瀬弁護士。

 このような場合は、お金を取り返すのは困難だと早瀬弁護士は言う。

「お金を払ってしまったあとは、これまで連絡を取っていた業者の電話番号、メールアドレスが通じることはまずありません。そうなると、裁判所を通して請求を行うことになりますが、裁判とまではいかなくても弁護士費用が発生します。いつ終わるかわからない請求完了までの労力などを考えると『数万円だから……』と泣き寝入りする人は多い」

 また、騙されたことを恥ずかしいと思い、専門家に相談をしていない人も多くいるという。

 副業のメリットは本業の片手間にできるところ。副業で失敗していては手を出す意味がない……リスク回避のために一体何ができるだろう。

「利用する副業の会社を事前に検索することです。過去に利用した人の口コミなどから、その会社のチェックをしっかりと行ってください」(早瀬弁護士)

お話を伺ったのは…早瀬智洋弁護士
弁護士事務所丸の内ソレイユ法律事務所所属。労働トラブル、企業法務を中心に依頼を受けている。

<取材・文/オフィス三銃士>