若者にカセットが「エモい」わけ

山下達郎などが作品を発表、若者に再評価されているカセット。ラジカセも実はいまだに販売中
山下達郎などが作品を発表、若者に再評価されているカセット。ラジカセも実はいまだに販売中
【写真】どれだけ覚えてる?昭和平成「懐かしお菓子」

 再評価された「昭和遺産」もある。週女読者には懐かしいカセットテープだ。

 今年5月、B'zが新譜の初回限定特典にカセットテープを付けると報じられたところ、ツイッターでは「#カセットテープ」がトレンド入り。ほかにも山下達郎や聖飢魔II、奥田民生などの人気アーティストが、相次いでカセットテープで作品を発表している。

「レコードもそうですが、カセットのようなアナログメディアがもてはやされている理由は、まず音質にあるように思います。CDや配信に比べて、音がやわらかで聞きやすい。そのうえ、デッキにカセットをガチャッと入れて“巻き戻し”などの操作をするのが、若い世代にはなんとも“エモい”ようです」(三上さん、以下同)

ITジャーナリストの三上洋さん
ITジャーナリストの三上洋さん

 シニア層が購入しているのかと思いきや、実はZ世代と呼ばれる若年層がカセットテープの愛用者だという。

「“所有欲”も関係していると思いますね。サブスクを利用しても、アルバムが手元に残るわけではありません。実際にカセットテープを所有して再生させるという操作自体が“刺さった”のだと思います」

 今なおすたれない「昭和遺産」は、ほかにもある。

「例えばキャッシュカード。暗証番号は、いまだに数字4ケタです。4ケタのパスワードなんて、安全性の面では最悪なのに、なぜまだ命脈を保っているのか? キャッシュカードには“二要素認証”が備わっているからです」

 キャッシュカードでお金を下ろすには、暗証番号とともに、カードという2つの要素が欠かせない。そうすることで漏洩を防ぎ、セキュリティーを高めているのだ。

「IT化というと、アナログがデジタルの敵のように思う人もいますが、そうではありません。医療現場で使用されているFAXのように、アナログがデジタルを補完するケースもあれば、カセットのようにアナログだけが持つ魅力もある。今後も共存し続けていくのではないでしょうか」

<取材・文/千羽ひとみ>