前置胎盤、コロナに感染した中で……

 お腹が大きくなってもスタッフには気づかれることがなかったという。

「スタッフや顧客に心配をかけたくはなく、最後まで責任を持って仕事をしたかったため、身内以外には妊娠の事実を伝えていませんでした。実はここ数年、妊娠するために15キロ痩せて、そこから今回の妊娠で15キロ太ったので、スタッフは『リバウンドしたのかな』と思っていたようです(笑)。帝王切開で出産時期が決まっていたため、入院直前に『出産のため1か月休みます』とスタッフに伝えたときは、大変驚かれました」

 妊娠後期には、前置胎盤と判明し、コロナにも感染して、緊急入院することに。

「前置胎盤は胎盤が正常より低い位置に付着してしまい、出産時に大出血をしたり、赤ちゃんに危険が及ぶことがあります。通っていたクリニックでは対処できないと言われ、大学病院へ転院を余儀なくされました。さらにはオミクロン株に感染。そのうえ高血圧症にもなり血圧が170を超えたため、結局予定日より早く緊急帝王切開で出産

 結果、超高齢出産でありながらも2554グラムの元気な娘が生まれてきてくれたことは、奇跡の連続の末であったということを改めて実感しました」

長女・芽依ちゃんを抱いて。「呼びやすくて、海外の方にも覚えてもらいやすい名前にしました」
長女・芽依ちゃんを抱いて。「呼びやすくて、海外の方にも覚えてもらいやすい名前にしました」
【写真】美容家の上田実絵子さんの出産直後、長女・芽依ちゃんを抱いて

 両親に孫を抱いてもらうという夢も叶えることができた上田さん。

「両親はとても喜んでくれていますが、80代なので、赤ちゃんをずっと抱っこできるような体力はありません。せめてあと10年早く産んでおけば、親も孫と遊べたのに……という気持ちになりました。私自身も50代で仕事をしながらの子育てなので、『すべて自分の手で』とは考えず、シッターさんにサポートしてもらっています。少子化対策がいろいろ行われていますが、子育て中の外部サービスが使える補助がもっとあれば、『働きながら子育てできる』と女性も出産しやすくなるのではないでしょうか。そんな私が将来出産を考える女性たちにお伝えしたいのは、結婚や出産の予定がすぐになくても、20~30代のうちに卵子凍結をひとつの選択肢として視野に入れていただきたいということです」

 最後に妊活をしている読者へのアドバイスをいただいた。

「私は7つくらい国内の病院を受診しましたが、親身になってサポートしてくれる、自分に合ったドクターを探すことが大切です。合わないと感じたら、転院をする決断も必要です。お金がかかるということも覚悟してください。また、不妊の原因が女性側か男性側かは半々といわれていますので、パートナーにも検査を受けてもらいましょう。なお、『妊活をするのは何歳まで』とタイムリミットを決めると、時間やお金の目安にもなります。

 また、私たち夫婦はパワースポットとして知られる(東京)大手町の『将門の首塚』に願掛けに行っていましたが、妊活中は心の安定が大事。寺社仏閣や自然が多い場所に行くのもおすすめです」

 上田さんのケースのように、超高齢出産には、まずは情報収集力が必要だ。