リーダー南部虎弾の幸せ

 自分なりの幸せを探し続けてきた南部の幸せ。そのひとつは、紛れもなく30年以上連れ添う18歳年下の妻・由紀さん(53)の存在だろう。二人が知り合ったのは、南部がダチョウ倶楽部時代、妻がライブを観に来たのがきっかけだった。

 電撃ネットワークの結成とほぼ同時期に結婚。当時南部は37歳、由紀さんは19歳。電撃ネットワークの歩みは、南部夫妻の歴史とそのまま重なる。

 額に缶ビールをつけるという、南部の代表芸も、実は由紀さんが先に“成功”したのだとか。

「電撃を始めたころにある集まりに妻と行ったんですが、そのときそこにいた外人さんが、おでこに缶ビールをはりつけてみせたんですね。すごいねー、なんて妻と二人で感動して。そこで家に帰って、そのまま注げるかというので風呂場で二人で実験したんです。そうしたら奥さんのほうが上手で、俺はなかなかできなかったんですよ。

 でもがんばってやっとできるようになりましてね。持ちネタにしてからは、醤油やワインの瓶、一升瓶までできるようになりました。結婚式で披露すると“くっつく”ということでとても喜ばれるんですよ」

 しかし、長年の過激な肉体芸と不摂生は、南部の身体にやはり負担ではあったようだ。2011年に2型糖尿病を発症。症状の悪化による腎機能低下により、医師から再三人工透析を勧められるようになる。

「でも透析を選択したら、週3回は受けなくてはならない。地方営業や海外ツアーができなくなるわけです。投薬でなんとかならないかと、逃げていました」

 だましだましで過ごしていたら、身体がついに悲鳴を上げた。糖尿病の悪化により自宅で倒れ、一時期は心不全の状態に。そのため心臓バイパス手術を受けた。なんとかこの世に留まることはできたものの、腎機能は低下の一途だった。

「医師に『生体腎移植がある』といわれたのですが、自分は血液型がRHマイナスで、同じ血液型でかつ適合しそうなのは弟くらいしかいませんでした。でも弟とは離れて暮らしているし生活もあるので、頼みにくい。どうしようかと思っていたところ、妻が『私のをあげる』って。

 妻とは血液型が違ったんですが、検査結果で適合したため移植が可能でした。
それ自体が奇跡なのですが、長年連れ添った夫婦の場合、奥さんが旦那さんに腎臓を提供するのって、かなり珍しいらしいんです。旦那さんが奥さんに、というケースならまだあるらしいんですけど」