とむ:ちょうどその喫茶店出た後に、鞄持ちをしたのが、弟子としての最初の仕事でしたね。

澤井:実際に、好楽師匠のもとに入門してどうでしたか?

とむ:めちゃくちゃ飲み会が多いと思いましたね(笑)。落語会の時間よりも、打ち上げの方が4倍ぐらい長いんじゃないですか?

好楽:好楽一行の一門会を開くと、売れたチケットの枚数より、打ち上げに来ている人数のほうが多いときがあるよね(笑)。落語会の常連さんから「師匠、落語会は間に合わないんですけど、打ち上げから行きます!」って電話してきて。「もう来なくていいよ!」って返したりね。

とむ:たしかに落語の場合、打ち上げにお客さんがいるところが独特だなと思いましたね。僕らがお客さんのお酒を作ったり、感想を聞いたりして。芸人の時は出演者と関係者だけだったので、結構びっくりしました。

澤井:確かにお笑い業界にはない文化ですね。

好楽:打ち上げで一緒になると、僕の独演会を観に来てたお客さんも「弟子のも観てみようか」と流れるからね。しのぶ亭(根津にある演芸場。三遊亭好楽の自宅1階を開放)で落語会を開催して、そのまま打ち上げ会場にする時も多いんだよ。落語会の後に椅子を片付けて、そのままテーブルを並べて宴会場みたいにしてさ。俺が飲兵衛だから酒はウチにいくらでもあるのよ(笑)。それでおつまみを作って振る舞ったりしてね。

とむ:本当に師匠はホスピタリティが高すぎるんですよ。自分のお客さんも紹介してくれるし、料理まで振る舞ってくれるんですから。普通は弟子がやることですよ(笑)。

澤井:師弟関係のイメージが180度変わったような感覚です(笑)

好楽:逆にお酒飲めなくて辞めた人もいるぐらいだから。

澤井:え、そんなこともあったんですか!?

好楽「飲み会ばかりには付き合ってられない」って数日で辞めた人もいるよ。

対談する澤井直人と三遊亭好楽と三遊亭とむ
対談する澤井直人と三遊亭好楽と三遊亭とむ

とむ:考えは人それぞれですからね。ただ、好楽師匠はどんな人でも受け入れてくれるんですよ。ウチの一門には、私のようなお笑い芸人もいれば、元々引きこもりの人も、スウェーデン人もいる。師匠のところじゃないと続いていない人ばかりで、懐の深さを感じますね。兄弟子とか弟弟子も飲み仲間という感じで、師匠がアットホームな雰囲気を作ってくれるからなんですね。

好楽:旅行とか、ボーリング大会とか、一緒に出かけたりすることも多いよな。

とむ:そうですね。前にWINS(場外馬券売り場)も一緒に行きましたよね。ちょうどその時、鶴瓶師匠から「何してんの?」って連絡が来たので、「師匠とWINSにいます」って返したら、「どんな一門やねん」って(笑)。まあそりゃそうなりますよね。

澤井:そんなに一緒にいたら、思い出もたくさんありそうですね。

好楽色々あるけど、テレビの収録中にとむが酩酊して潰れたのは面白かったな(笑)

澤井:なんですかその話(笑)!