「企業からすればいったん上がってしまったコストを元に戻すということは簡単ではない。あくまで、これ以上物価が上がる状況を回避できる──という認識を持ったほうがいいでしょう」

 もちろん、ロシアと欧米諸国の関係悪化や再び急激な円安が生じれば、回避どころか再度値上がりする可能性もある。また、これから影響が出始める品目もありそうだ。

「ほぼ100%国産でまかなわれているため、“価格の優等生”といわれる卵もさらに値上がりする可能性があります。トウモロコシを飼料とするわけですが、そのほとんどは輸入に頼っている。海外で価格が上昇していることに加え、円安の影響もある」

 鶏だけではない。日本の畜産業界は、輸入したトウモロコシを飼料にしているケースが多く、豚も牛も同様だ。

 国産だから値上がりしないということはなく、飼料や施設の光熱費などの間接的なコストが上がれば、その分、価格にも上乗せされる。

「石油価格が上がると、プラスチックなどの梱包資材類の価格が上がります。また、車を使用する宅配便にも影響が出始めるかもしれません。インフレの時代というのは、基本的にあらゆるものの値段が上がります。これがインフレの恐ろしさです」

物価高の中でも賃金は上がるのか?

 価格が下がらないのであれば、私たちの所得を上げるしかない。

 ユニクロは、年収最大4割アップを提示し、任天堂は全従業員の賃金を10%引き上げることを発表。「賃上げ」を掲げる企業が相次いでいる。

 加谷さんは、「賃上げは喜ばしいこと」としながらも、「企業にとってはコストアップ要因になる」と説明する。つまり、賃上げを発表した企業の製品価格が上昇……なんてこともありうるというわけだ。だが、

「この状況下で、賃上げができない企業というのはいかがなものか。儲けがあるから賃上げができるわけですよね? ということは、できない企業というのは、儲けが少ないということになる」

※画像はイメージです
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 また、こんな厳しい指摘も。

「経営者は、きちんと儲かるビジネスを設計し、それを実施する──これが経営者の責務です。逆にいえば、儲けを出せず、従業員に還元できない経営者は不適格ともいえる」