いざ自分や家族ががんになったとき、頼りになるのが、がん患者を多く診ている病院だ。
ただ、厚生労働省からがん診療の拠点病院に指定されているところは全国に400以上もある。どういった基準で選べばいいのか。
手術件数が重要なポイント
「がんの主な治療法には手術、放射線、薬物療法の3つがありますが、婦人科のがん、特に子宮体がんと卵巣がんは、ほとんどの場合、手術をします」
そう教えてくれたのは、兵庫県立がんセンターで婦人科部長を務める山口聡先生だ。ということは、手術の件数が多い病院を選べばいいのだろうか。
「はい、手術件数は病院の実力を見極める重要なポイントだと思います。がんの治療は手術だけでなく、薬物療法や放射線治療、緩和ケアなどの総合力が必要ですが、手術件数が多い病院のほうがそれらも充実していることが多いです」
そこで、厚生労働省が公表しているデータをもとに、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんの手術件数で病院をランキング付けしてみた。
「日本初のがん専門病院であるがん研有明病院が1位なのは納得ですが、国のがん研究の要である国立がん研究センターがトップ20に入っていないのは少し意外かもしれません。
近年は全国で先端の医療が行えるようになったので、以前はランキング上位だった医療機関が必ずしも、いまは上位に入らなくなっているのだと思います」(医療経済ジャーナリストの室井一辰さん)
とはいえ、やはり地域を代表するがん専門病院がランキング上位に入っている。
「がんの手術は難易度が高いため、専門病院に患者の集約化が進んでいる傾向があります。手術する外科医にとっても、多くの経験で技術を磨きやすく、習熟度が上がりやすい環境だと考えます」(山口先生、以下同)
また、婦人科がんならではの理由も。
「近隣の産婦人科では出産の対応が多忙でマンパワー不足が深刻化しているため、なおさら専門病院に集まりやすいといえます」
手術件数全国トップ20と、地域ごとの上位の病院を表にまとめた。手術件数や病院の規模だけが病院選びの指標ではないが、いざというときの参考にしたい。