「ズムサタ」で野球の話はほとんどしなかった理由

 今年から本格的な稼働が始まり、3月中旬には公式戦も予定している。今後は軌道に乗せていくため収益化に力を入れていく。

今後の目標はチームをプロ化して収益化すること。いま現在は試合の入場料も取っていませんが、スポンサー契約やグッズ販売を手がけて、ゆくゆくは選手のために収益化していかないといけない。あくまでも理想ですが、年収3000万円の選手が出てくるぐらいの規模に持っていきたいですね」

 日本野球の底上げに貢献したいと奮起する宮本だが、その想いはメディアに出演する際も同じだった。18年まで長年レギュラーを務めた「ズームイン!!サタデー」の思い出を振り返りつつ、メディアとの向き合い方をこう語る。

熱心にインタビューに答える宮本和知
熱心にインタビューに答える宮本和知
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「僕がズムサタで意識していたのは、『どうしたら視聴者に日本経済を回してもらえるだろうか』ということです。土曜の朝の放送後に家族で球場に足を運ぶなど、放送を機に外に出かけてくれるにはどうすればいいかを考えていました。

 そこで内容はバラエティに寄せた感じで、堅苦しくない方向性にしようと考えました。もちろん前日の試合結果を伝えることは大事ですが、そこまで詳しい解説はいらない。家族で観ててもちょうど良い温度感にするには、『野球選手の好物は何か』とか、『休日には何をしているのか』など、プライベートなことを聞くのがいいんですよ。

 実際に21年間、毎週ジャイアンツの取材を担当してきましたが、そこでは野球の話ってほぼしていないんですよね(笑)。坂本勇人はおでんの具なら何が好きとか、岡本和真は何味のラーメンが好きかとか。それで親子の会話が弾んでくれたらと思ってました。

 そのスタンスは現在でも変わりません。昨年はサッカーワールドカップが盛り上がったので、今年はWBCの番ですね。野球界が盛り上がってくれるよう、いち発信者として熱血に情報を伝えていくのが自分の使命だと思っています」

 還暦間近でもなお、精力的に活動を続ける宮本。野球界をリードする存在として今後も様々な活動を続けていくーー。


構成・文/佐藤隼秀  撮影/吉岡竜紀