免疫力でがんを防げる

「免疫力」という言葉はとても魅力的で、よく使われます。

「免疫力でがんを予防しよう」といったフレーズを聞いたことがある人もいることでしょう。

 体内では実は一日数千個もの「がん細胞」が生まれているのですが、免疫力で排除しているおかげで私たちはがんにならずに済んでいます。そういった仕組みは確かにありますが、免疫力でがんを確実に防げるのかというと、難しいというのが結論です。

 というのも、がん細胞はかなりの厄介者で、免疫の「監視」をくぐり抜けることが非常に得意です。

 自分ががん細胞だということを免疫に悟られないよう、鳴りを潜めて生き延び、無限に増殖できるチャンスを虎視眈々と狙っているのです。そこへ何らかの発がんリスクが後押しすることで、がん細胞がまんまと生存競争に勝利してしまうのです。

 免疫力だけではがんは防げません。だからこそ、がんになりにくくするための予防や早期発見が重要になってくるわけです。

医療機関の遺伝子検査キットなら安心

「遺伝子」という言葉に引き寄せられる人も多いようです。いまや、がんに関する遺伝子研究は飛躍的に進歩しています。実際の臨床現場でも「がんゲノム診療」が日常的に行われています。

 ただし、こうした本当の遺伝子研究と、がん予防やがんリスクの早期発見をうたった市販の「遺伝子検査キット」はしっかり区別してください。たとえ医療機関で扱っているものでも、信用性は乏しいといえます。

クリニックなどの遺伝子検査だからといって信頼できるわけではない ※画像はイメージです
クリニックなどの遺伝子検査だからといって信頼できるわけではない ※画像はイメージです
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 なかには、詐欺的クリニックなどが行う「がん関連の遺伝子検査」もあるので要注意です。高額なエセ治療に誘導するための道具として信ぴょう性のない遺伝子検査を受けさせる悪質なクリニックもみられます。

 残念ながら日本では、遺伝子情報の保護に関する法律の整備が不十分なこともあり、インチキ遺伝子検査が平気で見過ごされているのが現状です。うさんくさい「遺伝子ビジネス」にはくれぐれも用心してください。