店内に飾られたパネルやチラシを求めてファンが駆けつける

 '22年1月からはアパマンショップのCMに岩本照、ラウール、佐久間大介の3人が出演。3月からはモスバーガーが渡辺翔太とラウールを年間イメージキャラクターに起用。さらに同月には、メンバー全員でミンティアのイメージキャラクターにも就任している。

 ほかにも個人でのCMを抱えているが、驚くべきはその広告効果。アパマンショップの'22年の営業利益は前年比139%となり、モスバーガーは'22年4月に単月過去最高売り上げを記録。ミンティアも前年比103%の売上金額を記録するなど、軒並み業績が向上しているのだ。

すべてSnow Manのおかげだとは言い切れませんが、モスバーガーでは執行役員が“起用は大成功だった”と振り返っています。SNS上でも反響が大きくて、店内に飾られたパネルやチラシを求めて、ファンが駆けつけたそうですよ」(同・広告代理店関係者)

 ブランドイメージや認知度の向上を目的に、知名度や話題性のある芸能人を、企業が広告起用するのはごく一般的なこと。しかし、これほどわかりやすい業績向上は、当然の結果なのだろうか。

 広告業界に詳しい、マーケティングライターの牛窪恵さんに話を聞いた。

Snow Manは最近にしては珍しいケースです。芸能人のスキャンダルリスクを恐れ、アニメ調やVTuberといった人間以外のキャラクターを使うほうが安全という風潮もあるなか、これほどの結果を残せる芸能人はなかなか見当たりません

アパマンショップ公式Twitterより
アパマンショップ公式Twitterより

 過去を遡れば、嵐も絶大な広告効果を誇っていた。

'09年の、嵐が東京ディズニーシーでショーを開催するというイベントの参加には、ハウス食品のカレーなどを買って応募する必要がありました。このイベントの応募総数は500万通以上ともいわれており、ハウス商品の販促に大きく貢献しました」(牛窪さん、以下同)

 売り上げへの貢献を考えると嵐には及ばないだろうが、Snow Manの特筆すべき点はほかにある。

下積み時代が長かったため、そのプロセスを見守ってきた大勢のファンの目には、彼らを広告起用するブランドが“よくぞ私たちの推しを選んでくれた”という感謝の対象として映ります。ですから、期間限定のキャンペーンに応募するため、といった一過性の動機ではなく、恩返しの意味もあり、ファンは継続的にそのブランドの商品を買い続けるんです

 確かにSNSを見ると、広告起用が発表された際に、企業に対して感謝を述べたり、“これから売り上げに貢献します”と意気込むファンの声が多数見られた。

「デビューから1年もたたないうちにCMに起用し、現在も継続していることで、ファンにとって不二家は一緒に応援し続けてきてくれた仲間だと思われているわけです」

ミンティア公式Twitterより
ミンティア公式Twitterより

 9人組という大所帯であることも、起用のしやすさにつながっている。

「メンバーそれぞれが違ったイメージを持っているので、広告制作上でも多角的にアプローチできる。ユーモラスでも、セクシーでも、まじめでも、いろんなタイプのCMが作れる自由度があるのは制作側にとってありがたいはずです。クライアントから見ても、さまざまな顧客をターゲットに据えられるというメリットがあります」

 広告業界の“ドル箱”と化したSnow Man。さらなる飛躍に“i DO ME”!!

牛窪 恵 世代・トレンド評論家、マーケティングライター、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科客員教授。トレンド・マーケティング関連の著書多数。フジテレビ系『ホンマでっか!?TV』、毎日放送『よんチャンTV』ほかでコメンテーター等を務める