認知症の専門資格を取得

 グループホームの暮らしにも慣れ、穏やかに過ごしていたお母さんだが、ある日、突然食事を食べられなくなってしまう。その際のホームの方針に疑問を感じ、誰かに相談できたらと思い調べるうち、認知症ケア指導管理士の存在を知った。認知症の患者さんや家族、ケア職員に対して、指導や管理を行う専門職だ。

「スタッフさんも一生懸命考えてくれますが、家族と意見が合わないときもあります。認知症ケア指導管理士は家族と職員の間に入ってくれると知って、これだと。自分で解決法も知りたかったので、だったら自分でなっちゃおうと資格を取りました」

 それから認知症ケア指導管理士の存在をもっと知ってもらいたいと、いろいろな施設で講演会を計画するが、コロナ禍ですべてキャンセルになってしまった。

「活動はストップしていましたが、コロナも落ち着いてきたのでこの春からもう一度活動したいですね」

 お母さんの認知症を経験し、資格も取ったいま、つちやさんが思うこととは。

認知症がわかったら家族全員が一致団結することがなにより大切だと思います。自宅で介護するなら、役割分担をして互いの気持ちのケアをすること。それが難しければプロの力を借りることも視野に入れてみて。誰か1人が背負ってしまうといつか破綻してしまいます。預けることに不安を感じるなら、一度、家族で施設へ見学に行ってみると理解につながるはず。認知症ケア指導管理士に相談するのもおすすめですよ」

つちやかおり●1964年生まれ。1979年『3年B組金八先生』で女優デビューし、アイドル歌手、グラビアなどでも活躍。結婚後、芸能界を引退して3児の母に。2012年に芸能界に復帰。YouTube「つちやかおりチャンネル」も配信中。

(取材・文/井上真規子)