目次
Page 1
ー ドライでクールな出産
Page 2
ー 23歳で待望の女の子の母へ

 在日三世として東京に生まれ、人気シンガー、クリスタル・ケイ(37)を女手ひとつで育てたシンシア(60)。海軍に勤める夫との間に子どもを授かり、結婚。横浜のアパートで新生活を始める。

ドライでクールな出産

「早朝5時、突然陣痛が始まりました。夫と一緒に海軍のワークバスに乗り、横須賀の海軍病院に駆け込んだんです。ドクターはアメリカ人の軍医で、『Hi! My name is……』と明るく自己紹介をしてくれたけれど、私は陣痛でそれどころではありません。

 陣痛が15分になり、10分になり─、と間隔が狭まるごとに軍の職位が高い新たな軍医がやってきて、そのたび『Hi! My name is……』が始まります。

 間隔が5分になって、最後に登場したのは中佐でした。

『Hi! My name is……』と言うやいなや、私の子宮に手を入れて、ぶちっと破水させられた。日本式とアメリカ式の違いなのでしょうか。初めての出産でわからないことだらけで、もうびっくりです。

 日本の出産は、「もう少しですよ、頑張って!」とみんなに見守られる温かく感動的なイメージがあるけれど、向こうはとにかくドライでクール。『プッシュ、プッシュ!』とひたすらあおり、果ては出産に立ち会う夫に向かって『君のワイフは僕をヘルプしていない!』などと文句を言う始末です」