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ー パワハラは「そこまでひどくない」

 5月18日、市川猿之助が東京都目黒区の自宅で倒れているのが見つかり、両親が死亡した事件から2週間が経った。いまだ真相は明らかになっていないが、警視庁捜査一課は猿之助を自殺幇助罪で近く逮捕する方針を固めたと、『週刊文春』(6月8日号)が報じている。
 
 警視庁は父親で歌舞伎俳優の市川段四郎さんと母親の喜熨斗延子(きのしのぶこ)さんの死因は、いずれも向精神薬中毒とみられると発表しているが、同誌によれば、猿之助は入院している病院内の聞き取りで、

《両親が動かなくなった後、ビニール袋を取り外し、薬のパッケージと共に家の近くのゴミ置き場に捨てた》

 と話していたという。つまり自殺を手助けしたということで自殺幇助罪に問われる可能性が高いということだ。逮捕されるとなれば、猿之助は犯罪者となる。その場合、彼の今後はどうなるのだろうか。

パワハラは「そこまでひどくない」

 最近起きた歌舞伎役者の不祥事といえば香川照之(市川中車)の『銀座ホステス暴行』が記憶に新しい。彼の場合は事件化されていなかったので醜聞で済ませることができ、テレビドラマなどの仕事は自粛することになっても歌舞伎にはすぐに復帰、何事もなく出演を続けている。

香川照之
香川照之

 歌舞伎関係者は猿之助が起こした事件をどう見ているのだろうか。一部のおかみさんのなかには、いまだに混乱のなかにあるという。

猿之助さんが逮捕されるとなれば、それは深刻な事態と捉えなければいけないのですが、それでも罪を償ったら舞台に戻ってきてもらいたいと思っている人は多いです

 また、報道された猿之助の素行についても本音を漏らす。

パワハラに関しては、記事を読む限りではそこまでひどいものではなかった。こちらの世界で茶飯事です。恋人として知られていた歌舞伎役者というのは、周囲にはよく知られていたことですので、猿之助が“財産を託したい”というのは納得している人が多いでしょう」(同・梨園関係者)

 松竹も猿之助の“復帰”をすでに見据えているという。

「コロナでいろいろあった制限が緩和され、歌舞伎にも客足が戻ってきました。外国人旅行者や団体客も増えています。そんな時に客を呼べるスターがいなくなるのは非常に痛手です。逮捕に至らないことを願うばかりなのですが、万が一逮捕されたとしても彼を見放すことはしないでしょう。時間がかかっても復帰してもらいたいと思っています」(松竹関係者)

 歌舞伎の世界の特殊性なのかもしれない。猿之助は歌舞伎役者の宿命に救われるのか──。


<芸能ジャーナリスト・佐々木博之> 宮城県仙台市出身。『FRIDAY』で取材活動をスタート、記者歴37年のなかで数々のスクープを手がける。現在はテレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中