苦しみながらも'21年11月、西脇氏は第一審で勝訴する。

 しかし安堵したのも束の間、三浦氏はこれを控訴する。自身が代表を務める『山猫総合研究所』のプレスリリースでは、「今回の判決では、わたしの主張を大筋で認めていただいたことは確かですが、判決は真摯に受け止めます(一部抜粋)」と発表し、戦う姿勢を崩さなかった。

10日間で10万字を書き上げて……

「控訴審は簡潔な書類審査で終わる事も多いですが、三浦氏は新たに木村草太氏(『報道ステーション』などでコメンテーターを務めた法学者)の意見書を提出するなど、なにがなんでも判決をひっくり返そうという姿勢を感じました。結局、裁判は最高裁まで続き、ようやく'23年3月に私の勝訴が確定しました」

 前述の通り、1345日におよぶ長く苦しい戦いを終えた西脇氏。しかし判決が確定してからも、わだかまりが消えなかったと明かす。

「最高裁の判決後、三浦氏は一連の裁判に関して、なにもコメントを出さなかったんです。裁判の当初は反論を繰り返し、第一審後はプレスリリースで声明を発表して、第二審では木村草太氏を采配したにもかかわらず、いざ自身の敗訴が確定するとダンマリ。もう裁判自体をなかったことにしようとしてるんじゃないかとやるせなさを感じました。ちょうど最高裁が行われている時期は、三浦氏の夫に関する報道が露出し始めた頃。私も一連の報道を見守ってきましたが、風向きが悪くなるとコメントを控えるような姿勢は、私が法廷で見た三浦氏と重なっているように映りました」

 自分の存在意義をかけた裁判をこのまま風化させたくないーー。そう駆られた西脇氏は、一連の裁判過程を著書にまとめようと決断する。出版元の幻冬舎との最初の打ち合わせが4月10日、そこからわずか10日間で、約10万字近い初稿を書き上げた。

西脇亨輔氏が著した『孤闘三浦瑠麗裁判1345日』(幻冬舎刊)
西脇亨輔氏が著した『孤闘三浦瑠麗裁判1345日』(幻冬舎刊)
【写真】「露出しすぎ」批判された三浦瑠麗の“シースルー喪服”

 それから推敲を重ね、6月20日に著書『孤闘』が刊行された。タイトルの通り、三浦瑠麗という社会的影響力を持つ強敵に、妻と別れた男が本人訴訟で立ち向かった記録だ。最後に、怒涛の数年間を終えた西脇氏に、いまの心境を聞いた。

「結局、裁判を戦い抜いて、形に残ったものは賠償金の約35万円のみ。特別なにか新しい世界が開けるわけでもないが、三浦氏という社会的影響力のある相手に対して臆せず、自分のプライドや尊厳を守り抜いた事実が大きかった。

 側から見れば、『ここまで途方に暮れる裁判を往生際悪く続けた奴がいたもんだ』と思われるかもしれません。ただ、この痕跡が誰かの背中を押してくれたら気持ちも救われますね」