思い当たる人は早めに手続きを!

 相続税や固定資産税より身近な「払いすぎ」が医療費と介護費だ。

 例えば、収入が年金のみの世帯の多くが当てはまる住民税非課税世帯の場合、「高額療養費制度」を使えば、70歳以上なら1か月の医療費の上限は1世帯あたり2万4600円。一方の介護費は「高額介護サービス費」を利用すれば同じく1世帯の上限は2万4600円だ。

 これらの制度を使えば医療費、介護費とも上限を超えた金額が払い戻されることは知られているが、2つの制度を合算してさらにお金を取り戻すことができる「高額医療・高額介護合算療養費制度」のほうはあまり知られていない。

「例えばさきほどの住民税非課税世帯の夫が医療サービス、妻が介護サービスを受けているとしたら、8月1日から翌年7月末までの1年間、夫婦の医療費と介護費の合計額が31万円を超えた金額が還付されます」

 もし夫婦それぞれが月に上限の2万4600円を払っている場合、年間59万400円の出費だが、さきほどの制度を申請すると上限額の31万円を引いた28万400円を取り戻すことができるのだ。

 申請するには介護サービスは自治体、医療サービスは加入している医療保険に書類を提出。自治体から送られてくる「介護自己負担額証明書」を添付し、医療保険に申請する。お得な制度なので、手続きが面倒だが取り逃すことのないようにしたい。

 また、介護関連でいえば、最近は自宅をバリアフリーにリフォームする人への支援も手厚い。国から工事費用が最大18万円まで支給されることに加え、独自の助成金制度を設けている自治体も多い。

 さらに、バリアフリーのリフォーム代は、税金が還付される「リフォーム減税」や「バリアフリー住宅特定改修特別税額控除制度」も利用することができるのがうれしい。

「『バリアフリー住宅特定改修特別税額控除制度』は、例えば、標準的な工事費用が300万円で、補助金が100万円だとすると、最大で200万円の10%、20万円が所得税から控除されます。

 令和5年12月末までの制度ですが、高齢化を背景に制度が継続になる可能性も高いので、来年以降にリフォームを予定している人もチェックしておきたいですね」