《作った教材を子どもたちが喜んでくれ、一生懸命学んでくれたんです。また先生方が熱心に教材を研究していたり、子どもたちを想う姿をみて、心を打たれました。探究を深める指導をするなら中学校と思い、中学校教諭を選びました》(就職専門誌に掲載された北村容疑者の教員インタビューより)

 理科教師として授業研究に熱心だった。生徒に身近なペットボトルを実験に使ったり、水圧の学習で深海魚を話題にするなどして関心を高め、トントン拍子に出世。4年前に三原台中の校長として赴任した。

 在校生の男子生徒は言う。

「すごくいい校長だと思います。生徒を褒めるのが上手で、いい成績をとったり、結果が出なくても努力したときは“よくがんばったね”と直接言ってくれるので嬉しい。怒るところは見たことがありません。だから事件は信じられないんです」

 今年度最初の学校だよりでは「若草萌ゆる」のタイトルでこう書いていた。

《急ぎ足の春にどことなく忙しさを感じながら迎えた始業式でしたが、昨年度の修了式で紹介した桜の花の話を振り返り、多様性と共生について問いかけ、焦ることなく一人一人がその花を咲かせる努力をたゆまずに続けることを呼びかけました》

 「桜の花の話」とは、どのような内容か。複数の在校生に尋ねたが、「どんな話だったか覚えていません」「忘れました」などと一様に反応が鈍かった。

校長の話は長くて、しかも刺さらない

 別の男子生徒がこう打ち明ける。

「そんなことを言っていたような気もしますが、話が長くて刺さらないんです。ナンバーワンじゃなくても一人ひとりが特別な花なんだよ、という話だったかもしれません。校長は例え話が好きなんですよ。生徒にやさしく接してくれますが、逮捕後、僕の親は“人を肩書きや外見で判断しちゃいけないという勉強になったと思うしかない”と言っていました」

 同校の卒業生もまた「とてもいい校長でした」と高く評価をする。

「生徒思いでしたから。校長の話で覚えているのは、何か花言葉のような話を聞いたことがあったかもしれません。よく年度始めにする話があり、細長い物体をコマのように回転させると、やがて回転が遅くなり、逆回転を始めるという話です。どういう意味か? 申し訳ないんですが忘れてしまいました」(同卒業生)

 生徒にはおおむね好印象を持たれていたようだが、講話は今ひとつ響かなかったようだ。