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ー 猿翁さんの四十九日法要に残った遺恨

 両親を巻き込んだ一家心中を決行し、自殺ほう助の罪に問われていた市川猿之助に対して、東京地方裁判所が判決を言い渡した。

「懲役3年、執行猶予5年の有罪判決が下りました。2人の人間が亡くなっている事実を考えれば温情判決といえるのではないでしょうか」(スポーツ紙記者、以下同)

 11月17日の判決同日、歌舞伎興行を取り仕切る松竹はコメントを発表。

「今後の猿之助さんの活動について“進むべき道を共に模索して参りたいと思います”と、再開に前向きと捉えられる見解を示しました」

 とはいえ、猿之助が復帰するためには課題は山積みだ。

「出演していた『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』には再撮影を余儀なくさせる大損害を与えました。また、心中のきっかけとなったハラスメント疑惑についての検証は何もされていません

 歌舞伎以外のマネジメントを委託していた芸能事務所『ケイファクトリー』とも関係解消するなど前途多難ではあるが、それでも松竹は見捨てることができないようだ。

「猿之助さんは澤瀉屋の芸を継承した伝統文化の担い手。なにより歌舞伎公演のチケットをさばける数少ない人気役者の1人ですから、引退させるわけにはいきません。松竹としては、猿之助さんを両親の死を乗り越えた“悲劇の役者”として再スタートさせる復帰プランを練っていくようです」(梨園関係者、以下同)

 そんな計画を阻みかねない“火種”がくすぶっている。

香川照之さんですよ。澤瀉屋の中心人物だった猿之助さんが心中事件を起こしてからは、香川さんが一門をまとめているのですが、その“暴走ぶり”に松竹が頭を抱えているんです」

猿翁さんの四十九日法要に残った遺恨

納骨前に参列者と話す香川照之
納骨前に参列者と話す香川照之

 香川は澤瀉屋の頭領だった市川猿翁さんの実子ではあるが、歌舞伎のキャリアが浅く、一門の指揮を執るだけの器は備わっていないという。

香川さんは、松竹に連絡や確認を取らずに物事を決める傾向があるんです。猿翁さんの10月31日の四十九日法要も十数人の身内だけで済ませてしまい、猿翁さんと関わりのあった松竹幹部たちを激怒させてしまいました

 11月3日にNHKで放送された猿翁さんの追悼特番『天翔ける心、それが私』でも一悶着が。

「番組では猿翁さんとゆかりのある人にインタビューを行ったのですが、その人選について香川さんが澤瀉屋を辞めた人には取材しないようにNHK側に注文を出したそうです。そのため猿翁さんの愛弟子だった市川右團次さんや喜多村緑郎さんにはお声がかからず。そんな好き勝手を続ける香川さんの行動をよく思わない梨園関係者は松竹側にクレームを入れているんだとか」

 香川と松竹の溝は深まりつつあるようだ。

「現状では松竹が描く猿之助さんの復帰プランも香川さんに口を出されてしまいます。歌舞伎界の今後をかけた計画ですから、より一層、足並みをそろえないといけないのに」

 歌舞伎界の救世主として切望される猿之助だが、その行く先は予断を許さないようだ。