劇団は「お咎めなし」

 小池氏の後輩にあたる演出家の野口幸作氏もパワハラに加わったそう。

「新人演出助手を温泉やサウナに誘い、裸体を鑑賞。自宅に押しかけ、性的な嫌がらせをするところを動画撮影したそう。耐えかねて退職した人もいました。小池氏らが劇団からの聞き取りに全面否定すると、劇団側はそれを受け入れてお咎めなしに。今も指導を受け続ける団員たちからは“気持ち悪くて吐きそう”“指導されるのが怖い”と悲鳴が上がっているそうです」

 同じく演出家の藤井大介氏は劇団幹部からタカラジェンヌに対するAさんの件に関する説明会が開かれた後、酒を持ち込んで上級生たちと飲み会を始めたことも明らかになっている。信頼関係を保つことは難しいように思えるが……。

「どちらかというと“気持ち悪い”という感情のほうが強い気がしますね。嫌悪感を覚える人たちから指導を受け続けることは不快以外のなにものでもないでしょう」(前出・佐々木氏、以下同)

'24年に110周年を迎える宝塚歌劇団。記念行事は中止とのこと
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【写真】「気持ち悪くて吐きそう…」セクハラを告発された宝塚の演出家たち

 不快で済めばまだマシだ。

「“怖い”と話す劇団員は、自分に矛先が向くかもしれないという思いからでしょう。もし女性にもセクハラ行為をしていたという事実があれば、劇団側も動かざるを得ないと思います」

 小池氏は脚本の執筆が遅れることが多く、そのしわ寄せでタカラジェンヌたちの過重労働が生じていたという話もある。事実確認のために小池氏に電話をかけたが、一向につながらない。劇団には書面で質問した。

 小池氏と野口氏のセクハラパワハラについては《報道内容につきましては、それぞれに当該演出家ら及び関係者からの聞き取り等により事実確認を行っており、掲載されている内容が事実でない旨確認しております》と回答。藤井氏の飲み会については、厳重注意を行ったという。

 小池氏の執筆については、《適正なタイミングで脚本を仕上げるよう、指示しております》とのこと。執筆が遅れていることは把握しているらしい。問題点を洗い出し、宝塚は再生できるのだろうか。

「これまでを見ていると、劇団に自浄作用はなさそうで、今回も保身に走っているように感じます。今の段階ではまだ動かないと思いますが、第二、第三の被害者が現れたら、対策を講じるでしょうね」

 セクハラパワハラの当事者がお咎めなしでは、タカラジェンヌとファンの信頼を取り戻すことはできない。

佐々木博之 芸能ジャーナリスト。元『フライデー』記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中