目次
Page 1
ー 容疑者は「腰が低く接しやすい人」
Page 2
ー 被害者は自称“暴力団”、言いがかりをつけて…
Page 3
ー 「殺すぞ」「表に出ろ」

 事件はなぜ午前6時ごろ発生したのか。この素朴な疑問こそが、事件の解明に欠かせないカギを握る。

 その理由は後述するとして、まずは事件の流れを説明する。

「現場は群馬県前橋市下小出町の賃貸マンション。1月23日午前6時5分ごろ、住人の男から“知人男性を包丁で刺した”と犯行を認める110番通報があった。この男の部屋に警察官が駆け付けると、腹部から血を流して倒れ、意識のない男性を発見。市内の病院に心肺停止状態で救急搬送されたが、約2時間後に死亡が確認された。県警は室内から凶器とみられる刃渡り約20センチの包丁を押収し、男を殺人未遂容疑で現行犯逮捕。その後、容疑を殺人に切り替えて捜査を進めている」(全国紙社会部記者、以下同)

 逮捕されたのは住人の無職・野本正義容疑者(64)。亡くなったのは現場から数百メートルの集合住宅に住む職業不詳・西元忠二さん(69)で、胸や腹など複数か所に刺し傷があった。司法解剖の結果、死因は出血性ショックと判明した。

「野本容疑者は警察の取り調べに対し、刺した事実を認めながら“殺そうとしたわけではありません”と容疑を一部否認している。ふたりは知人関係にあり、野本容疑者の手にも切り傷があったため、犯行直前に何らかのトラブルが発生した可能性がある」

 野本容疑者はSNSで、眉間にシワを寄せた顔写真を投稿している。どこか人を寄せ付けない雰囲気を漂わせるが、同じマンションの男性住人は苦笑いしながら話す。

容疑者は「腰が低く接しやすい人」

「この写真の表情はたしかに硬いと思いますが、むしろ腰が低く接しやすい人ですよ。駐輪場でばったり会ったときに挨拶すると、気さくな感じで“×××号室の野本です。こちらこそよろしくお願いします”と丁重に対応してくれました。悪い印象は全くなかったので事件には驚いています」(男性住人)

 複数の住人らによると、野本容疑者が引っ越してきたのは約1年前。築十数年のワンルームマンションで家賃月3万数千〜4万円台と安価なのが魅力で、野本容疑者はひとり暮らし。目立つトラブルは一度もなかったという。

「いまは無職だが、つい最近まで介護ヘルパーの仕事をしていた。要支援者の排泄介助をやりたがらない人がいる中、野本容疑者は見かねて“なんだ、ケツを拭けねえのか”と言葉こそ乱暴ながら率先して手を貸した。心根はやさしい人なんだなと思った」(容疑者の知人男性)

 さて、事件はなぜ午前6時という早朝に発生したのか。