その言葉を聞いた森田社長。すぐさま、「自宅に来てもらうのは注意が必要」と助言を忘れない。

「業者を自宅に上がらせて査定させると、『あれもないか、これもないか』と言い出して、まとめて二束三文で買い取ろうとする不届き者もいます。

 自宅で査定をする場合は、信頼できる人と一緒に。可能であれば、実際に買い取り店舗へ足を運び、いくつか回って比較するのが望ましい」
(森田社長)

補聴器を新調、トイレの壁の修理も頼めた

 また、商業施設の中にある店舗は安心感を感じさせるが、テナント代を支払っている都合上、その分、査定額に反映される傾向があるとも付け加える。「慎重なくらいがいいんです!」とリーゼントを振りながら森田社長が力説するように、十分に比較検討することも忘れずに。

「勉強になったわ。実は、最初はビクビクしていたの。買い取りって、怖い人が出てきて『どうするんですか? 売るの、売らないの?』って詰め寄られるかと思っていた。
 
 でも、森田社長さんはもちろん、ここのお店の方は、私の話をきちんと聞いてくれて安心できた。だから、もし買い取りを検討している方がいたら、“きちんとムダ話も聞いてくれるかどうか”も大きなポイントだと思う」(冨士さん)

ブランド王ロイヤルの森田勉社長に、思い出の品々を買い取り査定してもらう冨士真奈美さん
ブランド王ロイヤルの森田勉社長に、思い出の品々を買い取り査定してもらう冨士真奈美さん
【写真】可愛すぎる! デビュー直後の冨士真奈美さん

 査定の結果、冨士さんは持参した品物のうち、約半分を買い取ってもらうことを決断。価格はトータルで200万円以上となった。

自分の決断で取捨選択したから、気持ちがスッキリしたわ。持ち物を整理して売るなんて、これまでは恥ずかしいことだと思っていたけれど、もういらないもの、役に立たないものは、なんとかしなくてはね」(冨士さん)

 後日、冨士さんに感想をうかがうと……。

「今回のお金でさっそく補聴器を新調したし、長年の課題だった、崩れたトイレの壁の修理も業者さんにお願いできた。うれしいわ」

 冨士さんが振り返るように、モノを処分することは、そこに付随する思い出を再考する行為でもある。タンスから思わぬお宝が出てくるように、モノを処分することと向き合うことそのものが、幸せにつながるともいえる。

 人生の整理整頓は、もっと楽しくやっていいのだ。

冨士眞奈美(ふじ・まなみ)●静岡県生まれ。1956年、NHKテレビドラマ『この瞳』で主演デビュー。’57年にはNHKの専属第1号に。俳優座付属養成所卒。俳人、著述家としても知られ、句集をはじめ著書多数。

森田勉(もりた・つとむ)●1945年、東京都生まれ。一流ホテル勤務を経て、’85年、不動産仲介業「ロイヤルシステム」設立。’95年、「ブランド王ロイヤル」を開店し、以後メディアにも多数登場するように。収益の一部を子ども食堂に寄付し、現在は「森田式少子化対策」の国家ビジョンを確立し、国とともに協議を行っている。


取材・文/我妻弘崇 撮影/渡邉智裕