専業作家の意見

 現在の文芸編集は“小説”“ファン小説”の二刀流で、ファン小説とは、ファンに買ってもらえればいい、初版部数が見込める小説のことだそうだ。ファンがいるといっても“フォロワー数1万人くらいのインスタグラマー”のレベルでは、出版社に見向きもされないとか。

「当社ではユーチューバーならチャンネル登録者数10万人以上を目安にしています」

 こんな現在の風潮を、専業作家たちはどう見ているのだろうか。大藪春彦賞を受賞した作家・赤松利市氏にコメントをもらった。

ホームレスを経て、現在は専業作家で生計を立てる赤松利市氏
ホームレスを経て、現在は専業作家で生計を立てる赤松利市氏
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「とかく冷え込みがちな出版氷河期ともいえるこの時代に、人気のある方がデビューされるのは誠に喜ばしいことだと存じます。少しでも読書を楽しまれる方が増えるのを願うばかりです。しかし作家という職業は、なることよりも続けることのほうがはるかに困難な職業。願わくば、2作目、3作目に挑んでいただき、出版業界を盛り上げていただきたいものです。

 とはいえ、新人賞などを受賞し、これから作家として歩み出そうと意気込む新人に例外なく出版社の方がアドバイスされるのは“今の仕事を辞めないでくださいね”という言葉です。幸い私の場合は、新人賞を受賞した時点で62歳、無職、家なしの人間でしたので、その後も専業作家として細々と暮らしておりますが、同じアドバイスをさせていただきたく存じます。

 上田様におかれましては、かなりの人気者であるようですので、芸能界におけるファンの方々のためにも、専業を考えずに兼業でお続けいただきたいものだと願います」 


取材・文/山部和歌子