例えば、今回物議の投稿の現地である台湾でも、代表的なECサイトである『蝦皮購物』で、秋田こまちは5キロ650台湾ドル(約3100円)ほどで売られている。
ただし「COSTCO代購」と記載されており、コストコで代理で買ってきますという意味で、おそらく冒頭で述べた5キロ539台湾ドルに上乗せして、650ドルにしているものと思われる。
送料込みで日本より安いものはごく一部
その他『蝦皮購物』を探してみても、日本産米はこの「COSTCO代購」の秋田こまちでなければ、1150台湾ドル(約5520円)や1450台湾ドル(約6960円)のものばかり。
つまり台湾のコストコでなぜか秋田こまちが特別に安く売られているという局地的な事情があるようだ。
アメリカを代表するスーパーマーケット、『Walmart(ウォルマート)』のECサイトでは、彩錦という日本産米が5キロ46.8米ドル(約6800円)、代表的なECサイトである『ebay(イーベイ)』では、5キロ93.08米ドル(約13500円)で売られている。アメリカアマゾンのサイトではアメリカ産日本米はあっても日本産日本米は見つからなかった。
日本産米がもっとも輸出されている香港では、代表的なECサイト『HKTVmall』で新潟産の『こしいぶき』が一般会員の送料額込みで239香港ドル(約4400円)、『こしひかり』が179香港ドル(約4800円)で売られていた。
タイのECモール『LAZADA(ラザダ)』では、日本の業者が日本産米(品種の記載はなし)を送料込みで645タイバーツ(約2800円)で販売。
以上の調査からわかることは場所によっては現状の日本の店頭価格を下回るケースもあるが、ごく一部であるということ。
「もともと日本産米の輸出は国策で、日本国内での米消費量の長期的な下落のカバーが第一の要因です。輸出推進策は2016年ごろから始まったことで昨日今日の話ではありません。SNSで指摘されているように、輸出用米の補助金制度も設けられています。そうした中で、流通経路や現地の購買力によっては海外において日本の現状の店頭価格を下回るケースが出てきてもおかしくないでしょう。また、今回の日本の米価格高騰は、2023年夏猛暑からの米不足、外国人観光客による需要増、経済全般のインフレや燃料などの流通コスト増などの複合的要因が絡み合っています」(経済ジャーナリスト)
確かに日本産米の輸出は以前からあることで、日本人の米消費の低迷をカバーするためだった。円安や海外での日本食ブームという追い風もあった。そんな中、もろもろの要因で国内で米高騰が起き、ごく一部で「海外の方が安い」ケースが出ているということ。決して、政府が日本人にお米を食べさせないために外国に輸出しているわけではなく、そのような“陰謀論”に踊らされないよう注意が必要だろう。