
“中居性加害問題”が、上場企業の統治の行方に、暗い影を落とし続けている。フジテレビのトップ、清水賢治社長(64)が今週、民放他局に出演したことが局内ををざわつかせているという。
「当日午後に撮影し、その日の夜にテレビ東京さんのWBS(ワールドビジネスサテライト)で流れました。局内でも情報は知られていなかったようです」
とスポーツ紙記者。「トップが他局に出るわけですから、それだけ必死ということですよ」と付け加える。
視聴者をミスリードしたテレ東『WBS』
一体、何にそれだけ必死なのか。
今月25日に開催されるフジテレビの親会社、フジ・メディア・ホールディングスの株主総会に向け、自陣が提案する取締役候補案を通したいフジ側と、別の取締役候補案を推し進めたい物言う株主側が今、株主の委任状争奪戦を激しく繰り広げているからだ。
「清水社長がWBSに出演した狙いは、株主に、我々の提案に賛同してくださいよ、というシグナルを送るためです。個人株主も機関投資家も、経済報道番組のWBSは見ていますからね」
と民放報道局記者は解説する。同時にテレビ東京はフジテレビ側に有利になるような印象操作を行った、と指摘する。

「誤報というほどではないにしろ、視聴者をミスリードした、あるいは印象操作した、と言ってもいいような作為を感じましたね。現段階で、どちらが優位かは、放送局として中立的な立場で報じなければならない。
にもかかわらず、テレ東は、清水社長を紹介する際、今月末に行われる株主総会で『フジ・メディア・ホールディングスの社長に就任予定の』と紹介していたんです。いやいや、ちょっと待って!と画面を見ながらも思わず突っ込みたくなりましたね」
就任できるかどうかは当日、ふたを開けてみなければ分からない。相手側の提案が通れば、フジ・メディア・ホールディングスの統治形態は、現状とはまったく違う形、フジテレビがフジテレビじゃなくなる可能性だってあるのだ。
「両者とも、コンテンツ企業として成長を目指す、という狙いは一致している。特にアニメに力を入れたい。最も大きな違いは、フジ側が保有する不動産事業を切り離すかどうか。切り離したい物言う株主側と、切り離したくないフジ側と、真っ二つに分かれている。どちらが統治を握るかで、不動産事業の行方がまったく変わってきます」(前出・民放報道局記者)
双方の関係者が雌雄を決する株主総会まで、残り10数日。フジテレビトップがライバル局にまでインタビュー出演して訴えたことが吉と出るか凶と出るか。答えを出せるのは株主だ。