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ー 広陵高校は7日夕方に出場予定

 8月5日から開幕した「第107回全国高校野球選手権」、通称・夏の甲子園。史上初のナイター開幕試合などで注目を集めるなか、主催する日本高等学校野球連盟(以下、高野連)と朝日新聞社が4日に発表した“ある声明”が、大会初日から批判の的となっている。

広陵高校は7日夕方に出場予定

「その声明では、選手や大会関係者への誹謗中傷・差別的言動が『名誉や尊厳、人権を傷つけ、心身に深刻な影響を生じさせる』ものであるとして、『法的措置を含めて毅然とした対応をとっていく』と強調。さらには学生野球の意義についても説き、『友情、連帯、そしてフェアプレーの精神を理念とする』『スポーツマンシップに則って真剣勝負を繰り広げる、かけがえのない舞台』などと記されていました」(スポーツ紙記者、以下同)

 SNSでの誹謗中傷を食い止めるための異例の強硬姿勢。背景にあるのは、出場校のひとつである広島の強豪・広陵高校をめぐる“暴力事案”だ。

「同校をめぐっては以前からSNSで『野球部員が上級生から殴られた』とする書き込みが拡散していましたが、8月5日、産経新聞の取材に対して学校側が事案の存在を認めました。報道によると、今年1月、当時1年生だった部員が寮内での禁止行為を理由に、複数の2年生から“指導”と称して暴力をふるわれたというのです」

 この事案は高野連に報告され、同年3月に「厳重注意」処分が下されたという。だが対外試合の出場停止などの措置はなく、甲子園出場も継続。実質的な処分はゼロに等しく、その“曖昧な対応”に異議が噴出する中、予防線を張るように発表されたのが今回の声明だった。

 その対応に対してネットでは次のような声が相次いでいる。

《これを誹謗中傷という言葉で封殺するような高野連と朝日新聞社は根本的に間違っている》
《毅然とした対応を広陵高校にはとれないのに誹謗中傷や差別的な言動に対してはとろうとするのか》
《非難が起きている原因が自分たち高野連の不適切な対応にあることをまず自覚すべきだと思います》

 つまり誹謗中傷が広がる下地をつくったのは高野連の処分の軽さだったにもかかわらず、それを棚上げにして“発信者だけ”を黙らせようとする姿勢こそが、今もっとも問われているのだ。

 スポーツジャーナリストはこう指摘する。

「高野連の公式Xは、今回の件が明るみになったあとからコメント欄を閉鎖し、リプライも制限したようです。声明では“環境づくり”をうたっていますが、実際には都合の悪い声を遮断しているだけ。単に組織を守りたいがための“居直り”としか思えません」

 さらにこう続ける。

「もし高野連が、広陵高校で起きた事案に対して社会的に納得のいく措置をとっていれば、ここまで炎上することはなかったにもかかわらず、ネットに投稿する一般人に対しては“法的措置”をチラつかせる。この姿勢が果たして“スポーツマンシップに則ったフェアプレー”と呼べるのか、非常に疑問です」

 広陵高校は7日の第4試合で旭川志峯(北北海道)と対戦予定。だがグラウンドの外では、高野連の対応をめぐる批判の声がやむ気配はない。