かつてしごかれた側上になり下をしごく
強豪校であればたいていは部員数の多い大所帯。
「寮生活のところも多いですが、そのチームワークを高める共同生活という閉鎖的空間もいじめの温床だと思います。“逃げ場”がないので。かといって指導者側が助けてくれるかといえば、今回の広陵のように“おまえのせいで表沙汰になるのか”と逆に詰められたりする」(野球部OB)
かつてしごかれた下級生がしごく側に回ることも。
「“自分がやられたから”という意識があるやつは少なくない。そんなことをしてるから試合に出られないんだよと思いますが、それを止めなかった自分にも罪はあると思います。ただ当時は自分のことだけで日々必死で、下級生を助ける余裕なんてありませんでした」(サッカー部OB)
野球でもサッカーでも、理不尽なしごき、犯罪といえるような暴行を受けた者が、後にプロになっている。元野球選手の金本知憲は広陵OBだが、野球部時代に受けた暴行を自著で綴っている。
「最近は引退した選手が自身のユーチューブなどで当時先輩から受けたしごきについて、わりと面白おかしく取り上げるのも少々問題だといつも思っています。もちろん“当時の話ですよ!”“今は絶対ダメ!”と断りを入れていますが、そんな笑い話的に語るようなことなのか……。“あのときがあるから今がある”的な感じで、それは走りのメニューだったりキツい練習に対して言っているのかもしれませんが、それと先輩によるしごきを同列のように話したり。“ご指導”だとかごまかすような表現で」(サッカー部OB)
しかし、生徒側にも問題があることも両者は触れる。
「強豪校に来るような選手は、小さいころからサッカーしかしてきていない。それも地域で“天才”といわれ、調子に乗っているやつも多い。全然しつけられて育っていないので、指導者側も大変だろうと思う部分もあります。
サッカーしかできない身勝手なアホなんです。自分が出身だからあえて言いますが、強豪校のスポーツ部員ってたいてい学力が低い。学校自体は私立が多く特進クラスがあったりしますが。まぁスポーツ推薦で入るやつらは基本的に……」(サッカー部OB)
「強豪校の監督は“人間性も指導する”みたいなことを言う人がわりと多いですが、具体性がない。表面的に挨拶と整列をちゃんとさせるくらいで、人間性とかおかしくないですか? まぁそれすらちゃんとしていない野性児みたいな部員も多いですが」(野球部OB)
強豪校には部の歴史が長い学校が多い。変化はしづらく、メスも入りづらいだろう。彼らが何より求めるのは“強さ”であり、強豪校ゆえそれはある種、達成されているために……。