「ゴールドディガー」と揶揄
2020年にヘンリーとメーガンはイギリス王室からの離脱を表明します。このとき、トーマスさんはテレビに出演し、涙ながらに「王室に申し訳ないことをした」と語り、自身の教育が悪かったと謝罪しています。自分を正当化しない昔気質な態度に、イギリスでは「アメリカ人としてはとても珍しい」と、トーマスさんに対して同情する人がたくさんいたほどです。現在も、「メーガンは嫌いだけどトーマスさんは好き」というイギリス人は結構いるんですね。
ただ、一方的にメーガンを悪者扱いすることもできません。トーマスさんは、妻であるドーリアさんと離婚すると、メーガンとは疎遠になっていきます。ドーリアさんはアフリカ系アメリカ人で、自由な気質の持ち主でした。メーガンは母方の家族と親密になっていくのですが、そんな家庭環境や自身のルーツを鑑みたとき、メーガンなりに思うところもあったのでしょう。
そうはいっても、メーガンの態度はあまり共感を呼べるものではない。というのも、現在、トーマスさんは心臓の病気を抱えながら、メキシコの貧民層が多く住む地域で暮らしています。宝くじで当たった大金は、娘の学費に充てた以外は知人に貸したものの返してもらえず、生活も困窮しているといいます。王室から離脱したとはいえ、ヘンリーとメーガンは多額の資産を有しているわけですから、トーマスさんへ支援をしてもよさそうなのに、メーガンはまるでしない。
イギリス人は、メーガンのことを“ゴールドディガー”─金を掘る人、つまり金銭のために交際、交友する人だと揶揄しています。こうした薄情な性格も、彼女の炎上女王、もといヒール性に拍車をかけていることは言わずもがなでしょう。

谷本真由美 たにもと・まゆみ 1975年、神奈川県生まれ。著述家。元国連職員。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。X上では、「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いポストで人気を博す。著書に『世界のニュースを日本人は何も知らない』シリーズ(ワニブックス【PLUS】新書)など著書多数。