「生前贈与だと、登記費用や贈与税などが結構な負担になることも。でも相続であれば、登記費用が軽減されたり、妻の場合、法定相続分が1億6000万円までの財産に相続税がかからないなどのメリットがあります。
そうであれば、やはり遺言を残してもらうのがベストです。『妻に全部渡す』という内容の遺言があれば、※遺留分として、前妻の子には4分の1、親なら6分の1を渡せばすみます。また、贈与や遺贈により長年連れ添った妻に自宅を遺産分割対象外として渡すことも可能になっています。詳しくは相続の専門家に相談しましょう」
夫の遺言が一番有効
うまく対策すれば先ほどの「家が5000万円、預貯金2000万円」のケースで、他の相続人への分割対象になるのは、預貯金の2000万円だけになる。
夫の死後、妻の生活を守るためには、夫に遺言書を書いてもらうのが一番よさそうだ。しかし当の夫が、難色を示す場合もあるとか。
「うちの親やきょうだいを疑うのかと夫が言うわけです。でも実際は親がいらないと言っても、夫のきょうだいが関与してきて、それはおかしいと言われることが多い。まして親が認知症になっていたら、本人はいらないとは言えません。後見人がいたら、後見人は相続を主張せざるを得ません。
そう考えると、やはり夫の遺言が一番有効。夫が死んだら、妻にとって夫の親やきょうだいは他人です。だからこそ、夫の生前の意思があれば、もめごとは減るのです」
夫に遺言を書いてもらうと同時に、生命保険などの財産を増やすことも大切。
「夫が死んだら生活費はたいてい減りますから、妻を死亡保険金受取人にした生命保険などは少しでも増やしておく。財産を誰かに配分することになったら、死亡保険金から支払えばよいのです」