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ー 伝統文化を感じるおせち、新コンセプトも登場中
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ー 2026年の通販おせち売れ筋トレンド

 2026年の通販おせち商戦が10月下旬に入って本格化している。定価よりお得になる「早割予約」を導入する通販会社が増え、すでに人気商品の一部は完売。年末の恒例行事だったおせちは、今や遅くとも秋のうちに選ぶものへと変化している。

伝統文化を感じるおせち、新コンセプトも登場中

物価高で節約していても、特別な日にはいいものを食べたいと考える人が多く、ネットでの通販おせちは人気です

 そう話すのはフードアナリストの吉岡杏奈さん。

「注目すべきは少人数世帯に合わせた一人前、二人前のコンパクト重の定着。三段重は食べきれない、または食べ飽きるという声があり、ちょっとだけおせちを味わいたいというニーズをつかんでいます」(吉岡さん、以下同)

 高級志向と伝統回帰の両立も今年の大きな特徴だ。食育の観点から、伝統料理が入ったものを選ぶ、子育て中の若い夫婦も増えているという。

コンビニで予約できる、高級旅館やシェフが監修したおせちも増えている。上の写真はセブン‐イレブンが販売中の能登の老舗旅館である「加賀屋監修おせち二段重」2万4840円/28品目(2~3人前)
コンビニで予約できる、高級旅館やシェフが監修したおせちも増えている。上の写真はセブン‐イレブンが販売中の能登の老舗旅館である「加賀屋監修おせち二段重」2万4840円/28品目(2~3人前)

旅館や料亭、人気シェフが手がける“監修おせち”が予約数を伸ばしています。自宅にいながら外食級の味が楽しめるという特別感があるのが魅力。家庭では再現しにくい味つけや、祝い膳として盛りつけの美しさが重視されているようです。

 より贅沢(ぜいたく)なものでは、ロブスターやキャビアなどの洋風素材を加えた“ご馳走(ちそう)重”も伸長。和洋中を詰め合わせた“ハイブリッド型おせち”も人気です」

 その一方で、健康志向のおせちも大きく台頭。減塩や無添加、アレルギー対応やヴィーガン仕様まで種類は多様化している。特に高齢層からは「祝い膳は楽しみたいが、身体に負担はかけたくない」という理由で選ばれやすい。

 ほかにも個人の趣味に特化した“推し活おせち”など、自由な変わり種もランキング上位になっている。

価格帯については、今年は3万円前後が売れ筋。個人的には高いと感じますが(笑)、三段重の食材を少しずつ買って作る場合と比べて、コストとしては案外、見合った価格ともいえます

 一人前セットは1万円以内のものもあって年金世帯や一人暮らしにも手が届きやすい。

共通するのは『新年早々、失敗は避けたい』という心理。ネットでの口コミや作り手の情報を見るなど、下調べをして選ぶ人が確実に増えました。老舗料亭やユーチューバーが監修していたり、百貨店バイヤー厳選品が人気なのも、お墨付きが欲しいから

 味のクオリティーでは、冷凍より冷蔵がおすすめだそう。選ぶ際にも要チェックだ。